平成26年度 公営企業会計決算特別委員会 第二分科会

平成二十六年度 公営企業会計 決算特別委員会 第二分科会
平成二十七年十月二十六日(月曜日)

第二委員会室

平成26年10月15日、副委員長をつとめる平成二十六年度 決算特別委員会 第二分科会にて、下水道局の都市型浸水対策のとりくみ、品川シーズンテラスならびに芝浦水再生センターの効果について、質問しました。


平成二十六年度 公営企業会計 決算特別委員会 第二分科会

副委員長 菅野 弘一君

■都市型の浸水を防ぐために

1.下水道における浸水対策

〇菅野委員

 それでは、私からは最初に、下水道における浸水対策について伺いたいと思います。
 先日の関東・東北豪雨を見ましても、いかに浸水被害が恐ろしいものであるかということを目の当たりにいたしました。一方、近年になって局地的な集中豪雨も増加をしてきています。
 この都心部において浸水被害が発生すると、都市機能が麻痺するなど、より甚大な被害となる可能性があります。また、オリンピック・パラリンピックの開催に向け、海外からのお客様なども安心してお迎えをする対策としても、この浸水対策はしっかりと進める必要があるかと思います。
 都内で都市型の浸水を防ぐためには、河川の対策はもとより下水道の対策が重要であると思います。
 そこで、まず、下水道の浸水対策についてお伺いをしたいと思います。

○神山計画調整部長

 下水道局では、経営計画二〇一三並びに豪雨対策下水道緊急プランに基づき浸水対策を進めているところでございます。
 経営計画二〇一三では、時間五十ミリの降雨への対策を基本としており、浸水の危険性が高い対策促進地区二十地区と、かつての川を下水道幹線として利用している浅く埋設された幹線の流域などの重点地区二十地区を定めております。
 また、特に浸水被害の影響が大きい大規模地下街では、時間七十五ミリ降雨への対策として九地区を定めております。
 一方、平成二十五年の甚大な浸水被害を受けて策定した豪雨対策下水道緊急プランでは、七十五ミリ対策地区四地区と五十ミリ拡充対策地区六地区を定め、市街地においても時間七十五ミリ降雨への対策へ踏み出すなど、雨水整備水準のレベルアップを図っているところでございます。
 豪雨対策下水道緊急プランでは、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、オリンピック・パラリンピック前の平成三十一年度までに整備効果を発揮させることとしております。

2.平成二十六年度の浸水対策の主な取り組みの進捗について

〇菅野委員

 浸水対策として局がさまざまな取り組みを行っていることがわかりました。
 そこで、現在の浸水対策の進捗について確認をしたいと思います。平成二十六年度の浸水対策の主な取り組みの進捗についてお伺いをいたします。

○池田建設部長

 対策促進地区二十地区のうち、平成二十六年度に練馬区中村地区が完了するなど、これまでに合計八地区で事業完了しており、他の地区でも工事を着実に進めました。
 重点地区においては、平成二十六年度に練馬区田柄、桜川地区で事業着手するなど、五地区で工事を進めており、他の全ての地区でも設計を進めております。
 また、豪雨対策下水道緊急プランにおける七十五ミリ対策地区、五十ミリ拡充対策地区においては、全ての地区で早期着手を目指し設計を進めました。

3.第二溜池幹線の事業の概要について

〇菅野委員

 昨年度も下水道局の浸水対策が着実に進められていることがわかりました。
 ところで、先日、私の地元港区でも工事が進められている第二溜池幹線について、内部の見学の機会を得ました。施設を拝見させていただき、東京都心の地下にあのように大きな下水道施設が存在していることに改めて驚きました。
 そこで、第二溜池幹線の事業の概要について、再度改めて伺いたいと思います。

○池田建設部長

 第二溜池幹線は、最大径八メートル、最大深度約四十五メートル、延長は千代田区紀尾井町から中央区勝どきまで約四・五キロメートルで、下水道管の規模としては都内で最大級の幹線でございます。
 日本の政治経済の中心地である千代田区、港区の浸水被害を軽減するとともに、閉鎖性水域である皇居内堀から流れのある隅田川へ雨水の放流先を切りかえることで、内堀の水質を改善いたします。
 幹線は、上流部、下流部に分けて施工しており、上流部は平成三年度に事業着手し、平成十三年度から貯留管として暫定的に活用しております。引き続き施工した下流部では、平成二十六年度に既設の雨水管を接続する工事が完了し、雨水を隅田川に放流する流下管として稼働しております。
 また、今年度中には、上流部と下流部の間に設置している仮壁を撤去し本格稼働となる予定であり、長年にわたった大事業が完了いたします。

〇菅野委員

 第二溜池幹線は、今答弁にありましたように都内最大級の下水道幹線とのことで、都心でのこうした大規模な工事は大変困難が伴ったものと思われますが、今回、下流部が稼働開始をし、工事完了も近いというふうにお聞きし、このことについては高く評価したいと思います。
 また、この施設が千代田区、港区の浸水被害の軽減に寄与するとともに、皇居内堀の水質改善にもつながることに大いに期待をするものです。

4.大規模地下街の浸水対策のとりくみについて

〇菅野委員

 一方、都内における大規模地下街では、浸水時に大きな被害が出ることから、局としても既にレベルアップをした対策を実施していると聞いています。
 そこで、大規模地下街の浸水対策の取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○池田建設部長

 浸水が発生すると甚大な被害が想定される大規模地下街九地区では、時間七十五ミリ降雨への対策として、これまでに四地区で事業を完了いたしました。
 平成二十六年度は、残る五地区のうち新橋・汐留駅地区、渋谷駅東口地区において、それぞれ工事を着実に進めました。このうち新橋・汐留駅地区においては、地下街周辺の枝線再構築に合わせて時間七十五ミリ降雨に対応する下水道管を整備し、地区内の浸水被害に関する安全性を向上させるものでございます。
 残る三地区においても、早期の工事着手に向け関係機関との協議や設計等を精力的に進めております。

〇菅野委員

 都民の生命や安全な暮らしを守るためのさまざまな浸水対策を昨年度も着実に進められてきたことがわかりました。さらなる取り組みを大いに期待して、次の質問に移りたいと思います。

■品川のシーズンテラスについて

1.本年二月に竣工した品川シーズンテラスの平成二十六年度の収入について

〇菅野委員

 それでは次に、下水道局に関係する施設としてもう一カ所、先日、品川のシーズンテラスを視察させていただきました。これは、芝浦水再生センターの雨天時の貯留施設の上部にオフィスビルを建築するという画期的な取り組みで完成した施設です。
 つまり、下部は下水道施設の本来の機能を持ち、上部は地代収入等により下水道事業経営に貢献するというものであります。
 そこで、品川シーズンテラスは、本年二月に竣工したばかりではありますが、平成二十六年度はどのぐらいの収入があったのか、この際伺いたいと思います。

○安藤経理部長

 本事業は、芝浦水再生センターの雨天時貯留池建設に合わせ、当局が、その上部を民間事業者に貸し付け、事業者が業務商業ビル、品川シーズンテラスを建設し運営する事業であり、本年二月に竣工し五月に本格開業いたしました。
 当局は、土地の貸し付けによる地代収入及び借地権の設定対価で取得した上部ビルのオフィス床からの賃料収入を得ております。平成二十六年度の収入は、本格開業前であったため、地代約四億二千五百万円、賃料約千百万円でございました。
 本格開業によりまして今後は増収が見込まれ、下水道事業経営の安定に寄与するものと考えております。

2.芝浦水再生センターの貯留施設の効果について

〇菅野委員

 まだ年度の途中ということでもありましたので、数字的には途中の経過ということになりますけれども、今後も安定的な収入を得ることで下水道事業経営に大きく貢献してもらいたいと願っています。
 次に、下部の貯留施設についてお伺いします。
 この地域の高浜運河などは、以前に比べれば大分きれいになっていると思いますけれども、それでも、いまだに雨が降った後には臭気の発生や濁りが見られます。
 近くでは、毎年運河祭りなどが開催され、町内対抗ボートレースなど、運河や海に親しむイベントなども行われています。私もそうした行事に参加をしていますが、地元からは、水辺を活用したにぎわい創出や、まちづくりを進める上でもさらなる水質改善の要望があります。
 そこで、芝浦水再生センターの貯留施設の効果についてお伺いしたいと思います。

○神山計画調整部長

 本施設の目的は、芝浦水再生センターに流入する降雨初期の特に汚れた下水を貯留するもので、貯留した下水は晴天時にセンターで処理いたします。
 施設は七万六千立方メートルの容量がございまして、これは二十五メートルプール約二百五十杯分に相当いたします。試算では、雨天時の汚濁負荷量を約三割削減することができまして、高浜運河や東京湾の水質改善に寄与いたします。
 今後も、水再生センターの再構築に合わせまして、貯留池のさらなる増設を行うことで対策を強化してまいります。

〇菅野委員

 今のご答弁で、さらに新たな貯留施設が整備されるということですので、その効果には期待したいと思います。今後も芝浦エリアの水質改善のため、引き続き、どうぞ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

3.区部全体の合流式下水道の改善について

〇菅野委員

 この芝浦エリアに限らず、区部の八割で合流式下水道が採用されていますが、合流式下水道は、衛生環境の改善と雨水排除の両方を早期に達成できたというメリットがある一方で、大雨の際には汚水まじりの雨水が放流されるという課題があります。
 そこで、最後に、区部全体の合流式下水道の改善についてお伺いしたいと思います。

○神山計画調整部長

 合流式下水道の改善の主な取り組みといたしましては、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、雨水はけ口からのごみなどの流出を抑制する施設の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備の三つがございます。このうち、下水道管の整備、ごみの流出を抑制する施設の整備の二つにつきましては、おおむね完了しているところでございます。
 現在は、下水を貯留する施設の建設を進めており、オリンピック・パラリンピックの開催に向け、平成三十一年度までに累計で百四十万立方メートルの整備を目標としております。 平成二十六年度は、芝浦水再生センターでも七万六千立方メートルの貯留施設が完成するなど、これまでの累計は百十四万立方メートルでございます。
 今後とも、合流式下水道の改善の取り組みを着実に進めまして、首都東京にふさわしい水辺環境の形成に貢献してまいります。

〇菅野委員

 当面、オリンピック・パラリンピックに向けては、海外から訪れる多くのお客様、そして、世界で一番安全な防災都市というか、災害に強い都市をつくる意味でも、そうした震災対策の強化、そして、オリンピック・パラリンピックの各競技会場にもなります水辺、海、そうしたところの浄化というのは、大変大きな課題があるかと思います。
 そして、これの改善への取り組みは大変重要であります。そこで下水道局の役割というのは、とても大きなものがあると思います。これからも、さらなるレベルアップを図っていただき、着実に取り組みを進めてもらうことを大いに期待申し上げまして、私の質問を終わります。

平成二十六年度 公営企業会計 決算特別委員会 第二分科会


【都議会リポート】

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/municipal-utility-account/fy2014-07.html