平成30年10月24日 東京都議会 平成29年度決算特別委員会にて、質疑を行いました。

■小笠原諸島の火山列島における調査について

1.火山列島調査における自然環境調査の概要と成果について

○菅野委員

 それでは、私の方から、最初に小笠原諸島の火山列島における調査についてから伺いたいなと思っています。
 毎年、決算説明書では、世界自然遺産保全事業にも取り組んだことが明示されています。私はことしの六月末から七月の頭にかけて、返還五十周年を祝うため、小笠原諸島に行ってきました。豊かな自然に触れ、世界的にも貴重な自然を次世代に継承することの必要をひしと感じたところです。
 決算説明書によると、世界自然遺産保全事業の一つとして、火山列島における自然環境調査について約二千八百万円支出されています。
 ちょうど先月、NHKスペシャルでは、火山列島の南硫黄島について取り上げられていました。番組のエンディングのクレジットでも東京都の名前が出ていましたので、これはこの支出と関連するものなのでしょうか。
 そこでまず、この火山列島調査における自然環境調査の概要とその成果についてお聞きしたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長

 小笠原諸島火山列島は、父島からさらに南、約二百から三百三十キロメートル離れて位置する島々であり、昨年度の調査は、列島最南端の南硫黄島で実施したものでございます。
 南硫黄島は、急峻な地形や自然環境の厳しさから、人が定住したことがなく、小笠原諸島で最も原生の自然が保たれている島であり、通常、立ち入りが禁止され、島自体が原生自然環境保全地域や天然記念物として、手厚く守られております。
 今から十一年前の二〇〇七年、世界自然遺産登録を目指す中、東京都と首都大学東京が調査隊を組み、自然環境調査を実施しており、その調査成果は、登録につながる材料として高く評価され、遺産登録推薦書に記載されました。
 昨年度の調査は、前回調査から十年が経過した中、その後の自然環境の変化や生態系の現状を把握し、その価値を評価するとともに、保全のための基礎資料を収集するため実施したものでございます。
 今回の調査に当たっては、首都大学東京に加え、今後の研究に重要な資料となる画像データの取得を目的に、NHKとも協定を締結し、共同調査を実施いたしました。
 調査の結果、絶滅したと思われていたシマクモキリソウの再発見やアカアシカツオドリの集団営巣地の国内初確認ほか、植物、鳥類、陸産貝類、昆虫類などについての新たな発見等、多くの成果を得ております。

2.調査の成果発信への取り組み状況について

○菅野委員

 今お話がありました昨年秋のシマクモキリソウの開花については、多くの新聞報道などにも取り上げられたにもかかわらず、実際、肝心の花というのは、この近くだと筑波の植物園まで行かなければ見られない状況でした。
 NHKスペシャルも好評だったと聞いていますが、一回のテレビ放映ではPRは十分とはいえません。多くの成果を得た割には、都民に調査の価値や成果が十分に伝わっていないのではないでしょうか。
 調査の成果発信についての取り組み状況について伺いたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長

 南硫黄島の調査結果の成果については、これまでNHKスペシャルによる放送のほか、首都大学東京における特集冊子の発行やシマクモキリソウ開花のように個別の成果についてのプレス発表、あるいは公開で行われた学会発表の機会等を捉え、発信を行ってまいりました。
 現在、小笠原ビジターセンターでは、南硫黄島の調査に関する特別展を開催中であり、今後、近接県の博物館においても特別展が実施される予定でございます。

3.調査の成果の発信の強化について

○菅野委員

 学会とか専門冊子、いずれも専門性の高い人々への発信には効果的だと思います。もう少し広く発信することも重要ではないでしょうか。小笠原や近接県まで行かなくても見聞きできることも必要です。
 調査の成果について、発信をさらに強化すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長

 小笠原世界自然遺産の保全のためにも、その自然の価値に関する普及啓発は重要でございます。十年前の調査実施の折には、都庁において、調査に参加した科学者による講演会等を実施し、調査成果を広く周知し、好評を得ております。
 こうしたことから、今回調査に参加した科学者たちからも、あらゆる層に対する発信について積極的に協力するという意向を示されております。
 今後、都政ギャラリーにおけるパネル展を初め、NHKや首都大学東京の協力を得て、さらなる普及啓発に取り組んでまいります。

4.北硫黄島の調査について

○菅野委員

 テレビでも調査隊の隊員の情熱や豊かな自然環境がわかりやすく、ドラマチックに伝えられていたと思います。シンポジウムの開催などもぜひ検討して取り組んでいただければと思います。
 そして、さて火山列島には、今回調査をした南硫黄島だけではなく、北硫黄島もあると思います。こちらは現在は無人島ですけれども、かつては、戦前、太平洋戦争前までは集落があって、最盛期には二百人以上が暮らしていて、小学校もあったというふうに聞いています。
 こちらはまた先ほどの南硫黄島とは、そういった意味で生態系が異なるとは思いますけれども、やはりこの機会にこちらも調査が必要ではないかと私は考えていますが、その辺の見解を伺いたいと思います。

○金子緑施策推進担当部長

 北硫黄島につきましても、約十年前に南硫黄島同様の総合的な調査を実施しており、その後の自然環境の変化や現状把握、分析は、世界自然遺産保全のために重要でございます。
 このため、本格調査時のアプローチルートの選択や調査対象項目の選定等を行う予備調査を今年度実施しているところでございます。この予備調査の結果を踏まえ、今後必要な全島調査の実施に取り組んでまいります。

■生態系に配慮した緑化について

1. 江戸のみどり登録緑地制度の目的と昨年度の実績について

○菅野委員

 小笠原諸島は世界自然遺産であり、その貴重な自然環境は全世界共通の財産です。その中でも、特に火山列島は、原生的な自然環境に富んだ重要なエリアです。継続的にその自然環境について調査を行い、全人類の知見として蓄積していくことが大切です。
 調査のスキルやさまざまな知見が継承されるとともに、今後も、定期的に調査が実施され、新たなすばらしい発見がなされることを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 それでは、続いて、生態系に配慮した緑化について伺いたいと思います。
 緑の新施策の推進には、生態系に配慮した緑化に関する事業が含まれていると聞いています。私の地元港区には、大名屋敷の跡地を中心に地域ゆかりの自然が多く残され、多くの人に親しまれています。
 都内では、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック大会を目前に控えて、大規模な都市開発が活発に行われていますが、都心の貴重な自然を残していくことは重要です。
 例えば六本木にあるアークヒルズ仙石山森タワーでは、開発前から地元の方に親しまれてきた樹木を保全しながら、生き物のすみかとなる緑地を配置するなど、自然を生かしたまちづくりに取り組んでおり、今では野鳥が訪れる都会のオアシスとして大変人気を得ています。
 都は昨年五月に、生態系に配慮した緑地を認定する江戸のみどり登録緑地制度を開始しましたが、仙石山森タワーは、人と自然が共生する新たな都市緑化のモデルとして、特にすぐれた取り組みを行う優良緑地の第一号案件にも選ばれております。
 そこで、江戸のみどり登録緑地制度の目的と昨年度の実績について伺います。

○須藤自然環境部長

 一定規模以上の開発を行う場合に、東京に昔から自生する在来種を配置することで、緑地周辺の生態系の回復や自然環境に配慮した都市空間の創出に貢献するものと認識をしております。
 江戸のみどり登録緑地制度は、このような在来種植栽を積極的に配置する緑地を認定、登録することにより、都内にある生態系に配慮した緑地について、都民や事業者に知ってもらい、機運を高めることを目的とした制度でございます。
 また、在来種植栽に加えて、例えば鳥が食べる実をつける樹木を植えるなど、生き物の生息環境に特に配慮した取り組みを行う場合には、よりすぐれた優良緑地として認定をしております。
 平成二十九年度は、仙石山森タワーを含む五件の優良緑地を登録いたしました。

2.江戸のみどり登録緑地の普及啓発について

○菅野委員

 江戸のみどり登録緑地制度はまだ始まったばかりで、せっかくのよい取り組みが広く知られていません。今後、登録のさらなる普及拡大に努め、都民や事業者に生態系に配慮した緑化の重要性や魅力を周知していただきたいと思います。
 また、都内の自然を守り、生かしたまちづくりを行うためには、都市開発を行う事業者に対して、江戸のみどり登録緑地の先駆的な取り組みを積極的に情報提供し、普及啓発を行っていくことが重要と考えますが、そちらの見解を伺いたいと思います。

○須藤自然環境部長

 平成二十九年度に民間デベロッパーや緑地の設計、管理に携わる事業者などを対象とした講習会を開催し、緑地の設計や管理のポイントなどを紹介したところ、参加者から好評を得ることができました。
 その一方で、参加者からは、実際の管理を行う中で気づいた点や工夫した点は何か、住民や地域の方などの反応はどうなのかなど、先駆的に取り組んでいる現場の具体的な情報が欲しいという意見が多く寄せられました。
 今後は、先駆的な取り組みを行う江戸のみどり登録緑地の事業者などの協力を得て、現場見学や実務担当者へのヒアリングの機会を設けるなど、具体的な情報提供に努め、自然を生かしたまちづくりに取り組む事業者の拡大を図ってまいります。

■水素社会の実現に向けた取り組みについて

1.ステーション整備への取り組みと二十九年度の実績について

○菅野委員

 仙石山森タワーのように、鳥や昆虫が訪れ、人々の憩いの場となっている江戸のみどり登録緑地は、生態系に配慮した緑化について理解を深める格好の現場ですので、積極的に活用していただきたいと思います。
 東京には、江戸時代から人々に親しまれてきた緑地や自然がまだまだたくさんあります。これらの自然を生かしながら、人と自然が共生する都市東京の実現に向けて、事業者からの要望を踏まえたわかりやすい情報提供を実施するよう要望しておきます。
 それでは、次に、水素社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 我が党はこれまでも水素エネルギーの普及に力を入れてきております。
 そこで、先日、江戸川区臨海町において、初の都有地活用による燃料電池バスに水素を充填できるステーション整備事業者が決定したとの報道がありました。水素社会の実現に向けて燃料電池自動車が普及していくためには、水素を充填するためのステーション整備は重要です。
 まず、そのための取り組みと二十九年度の実績を伺いたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長

 水素ステーションの整備拡大に向けて、都は国と協調して、整備費に対する補助制度を実施しているところでございます。運営費につきましても、国等とともに補助するほか、都独自の取り組みとして、土地賃借料に対する補助も実施しております。
 平成二十九年度には、この補助制度を活用して、江東区に新たに一カ所開設され、また移動式ステーションが世田谷区に一カ所開設されたことにより、都内では十四カ所の水素ステーションが稼働しております。

2.新設ステーションの整備促進以外の対策への取り組みについて

○菅野委員

 都は、水素ステーションの整備目標を二〇二〇年までに三十五カ所としていますが、十四カ所ではまだ目標の半分にも達していません。燃料電池自動車、バスをより一層普及させていくためには、ステーションを整備していくことが不可欠ですが、こうした現状では、燃料電池自動車普及への意欲が弱まったのではないかと思えてしまいます。
 都内においては新たな用地を確保することが難しいのであるならば、新設ステーションの整備促進以外の対策をとるべきです。それに向けてどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。

○村山都市エネルギー推進担当部長

 水素ステーションの整備には、新設に加え、既存ガソリンスタンドへの水素充填設備の併設も有効でございます。
 このため、二十九年度には中小ガソリンスタンド事業者等を対象に水素ステーションに関する講習会等を実施するとともに、併設への技術支援をすいすいサポート相談窓口で実施いたしました。
 今年度は併設に向けた設置検討調査を行い、レイアウトや工事費等を示すことにより、事業者参入を後押ししてまいります。

○菅野委員

 水素ステーションと燃料電池自動車の普及というのは、車の両輪の関係にあります。確かに既存のガソリンスタンドを活用した水素ステーション整備も重要です。ただし、燃料電池自動車の一層の普及を図るのであれば、燃料電池バス導入に向けた交通局との連携をもっと強化すべきだと思います。
 水素ステーションが少ないから燃料電池バスの導入がおくれているといううわさも聞きます。そして、既存のガソリンスタンドを活用した水素ステーション整備には、国の規制緩和に向けた都の取り組みが最も必要ですし、何よりも民間ガソリンスタンドが水素ステーションになかなか手を出さないのは、ランニングコストを賄えない、赤字でやるわけにはいかないということです。
 こうした状況を踏まえ、事業者の声に耳を傾けながら、ぜひしっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。
 最後に、現在、水素ステーション整備は二十三区が中心ですが、今後、水素エネルギーの普及を加速化させていくためには、多摩地域への整備など、地域も考慮に入れて計画的に推進していくことが必要であることを指摘して、この質問は終わります。

■LED省エネムーブメント促進事業について

1.タレント起用の広報に要した費用と成果について

○菅野委員

 最後に、LED省エネムーブメント促進事業について伺います。
 この事業は、知事の肝いりで昨年七月に開始した事業ですが、LED電球の配布個数が年度末時点で約二十二万個程度ということで、目標の二割にとどまっており、実績が低調でした。先ほどもそういう指摘があったと思います。
 本事業の周知に当たり、都はタレントを使った派手な広報を実施しましたが、都民に対して十分に行き届いていなかったのでないかと思います。
 そこでまず、タレントを使った広報に要した費用と成果について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長

 広報に当たっては、PR動画やポスター、チラシを作成してございます。これに要しました費用は、タレントの出演料や動画等の作成費として約二千万円でございました。
 白熱電球二個とLED電球一個を交換するという事業の特徴をわかりやすく伝えることができ、かつ多くの都民の方に広く本事業を知っていただけるよう、事業イメージに合致し、また認知度の高いタレントを起用して、広報を実施することとしたものでございます。
 昨年五月からユーチューブに公開したPR動画は、再生回数が三十一万回、またテレビの情報番組でも多数取り上げられましたことなどから、一定の波及効果があったと考えているところでございます。

2.市町村との連携、周知への取り組みについて

○菅野委員

 一定の効果があったという評価ですが、費用対効果という点ではどうだったのでしょうか。費用対効果の高い周知を行うためには、我が党がかねがね指摘してきたように、タレントを使った派手な広報ではなくて、やはり住民に身近な区市町村と連携するなど、もっともっと地域に根差した丁寧な取り組みを行うことが重要だと思います。
 都は区市町村とどのように連携し、周知をしてきたのか、これまでの取り組みを伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長

 各区市町村の環境保全主管課長が集まってこられます会議におきまして、事業の説明や周知の依頼を行いまして、事業概要の広報紙への掲載や窓口でのチラシ設置等のご協力をいただいたほか、区市町村が開催されますイベントにおきまして、チラシの配布などを行わせていただいたところでございます。
 また、区市町村を通じて町会のご協力をいただきまして、掲示板や回覧板へのチラシの掲示などを行ってきたところでございます。

■終わりに

○菅野委員

 一通りの取り組みをしてきたことはわかりましたが、例えば全ての区市町村の広報紙に記事が掲載されたわけではないとも聞いています。もっとしっかりと連携を働きかけることが必要だったのではないかと考えます。
 先ほどの委員の質問にもありましたけれども、電気屋さんでも何かもっともっと、今度新しい制度のことですけど、それも知ってもらいたいというようなお話があったようでございます。その辺がやっぱり重要じゃないかなと思っています。
 そこで、都は八月から新たな仕組みで事業を再開しています。今度は電球一個と、白熱球一個とLED一個というのが売りなんでしょうけれども、その結果、昨年度を上回るペースでLED電球の配布が進んでいると聞いています。
 今回PRに使用しているポスターやチラシのデザインは、拝見したところ、シンプルなものとなっています。メディア露出を優先した上滑りなやり方は必要なかったのではないでしょうか。
 ただ、ここへ来て気になるのは、この事業は途中から大型量販店でも交換できるようになりました。これはそもそも、まちの電気屋さん、電気店を使うことで、環境対策とあわせて、小売店の活性化につなげようということもあったと思います。
 まちの電気店からは、最近はすっかり交換に来る人が減っちゃったよという声も聞かれます。こうした現実にも目を向けていただくことを要望いたします。きょうは要望にとどめておきます。
 先般の定例会でも我が党から指摘しましたが、環境対策は地道な活動に支えられている事業であり、この基本をわきまえて、LED事業を初め、環境対策を推進していただきたいと思います。このことを申し上げて、私の質問を終わります。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2018-15.html