平成30年度 予算特別委員会 統括質疑(2日目)

平成30年3月14日、東京都議会平成30年度予算特別委員会にて、質疑を行いました。

■地方消費税の清算基準の見直しについて

1.清算基準の見直しのポイントとそれによる国の狙いについて

○菅野委員

 それでは、私からは最初に、地方消費税の清算基準の見直しについてお伺いしたいと思います。
 昨年の十二月十四日、国の税制改正大綱が発表され、残念ながら東京の貴重な財源がさらに奪われる事態となりました。今回新たに一千億円が減収することになります。こうした結末になった知事の責任は極めて重いといわざるを得ません。
 先日の我が党の秋田幹事長の代表質問で指摘をさせていただいたとおり、知事みずからが先頭に立って、区市町村はもとより、都議会、各種団体等としっかりとコミュニケーションをとって、国との調整や国への働きかけを行うなど、広域自治体の長として汗をかく姿勢がなかったのは明らかであります。
 今後、さらに東京を狙い撃ちにした税制改正が行われることが懸念されます。
 そこで、まず伺いたいと思います。
 今回の清算基準の見直しのポイントと、それにより国は何を狙っているのでしょうか。

◯武市財務局長

 地方消費税の清算基準は、消費者が消費を行った地域に税収を帰属させるための仕組みでございまして、客観的な消費活動を示す統計に基づいて清算を行うことを基本としておりました。
 しかしながら、国は、今般の税制改正におきまして、その統計の中から、百貨店など都のシェアが高い業種を除外するなど、東京への配分比率を低下させるための、とても合理的とはいえないような見直しを強行いたしました。
 これは、明らかに東京や大阪など、都市部から財源を奪うことを意図したものであると考えております。

2.見直しによって今後生じる区市町村財政への影響について

○菅野委員

 地方消費税は、待機児童対策や超高齢化への対応など、幅広い行政サービスを担う安定的な自主財源として必要不可欠なものであります。こうした貴重な財源を奪う国の不合理な動きに対し、私の地元である港区を初め多くの区市町村が、今後の財政運営に強い懸念を示しています。
 そこで、今回の見直しによって、今後の区市町村財政にどのような影響が出るのか伺いたいと思います。

◯多羅尾総務局長

 今回の地方消費税の清算基準の見直しにより、来年度の地方消費税交付金は、区が約三百八十億円、市町村が約百四十億円、区市町村全体で約五百二十億円の減収になると見込んでおります。
 都としても、国の一方的な税制改正による減収が続くことで、喫緊の課題である少子高齢化への対応や、公共施設の老朽化対策におくれが生じかねず、今後の税収の動向にもよりますが、住民サービスの低下につながることを懸念しております。

3.現状をどのように打開していくのか、知事の見解

○菅野委員

 今回、国が行った措置は、東京に本来帰属すべき税収をほかの地域に回すものであり、明らかに地方税の根本原則をゆがめています。
 加えて、さきの税制改正大綱において、平成三十一年度税制改正では、過去繰り返してきた地方法人課税の不合理な偏在是正措置の拡大を検討する考えも示しています。
 一方、区市町村においては、今回の国の措置に対して、多くの区市町村議会で意見書が出されており、その中に、全国の自治体の共感も得ながら、都と都内各区市町村が一丸となって対抗していくことが重要であります。
 また、そこには、東京の税財源を守り、真の地方分権を実現するという強い覚悟を持って、都知事がリーダーシップを発揮されることを望むものでありますという附帯意見もついています。
 こうした中、平成三十一年度税制改正に向けた国の動きに対する先日の我が党の代表質問に対し、知事は、都民代表の都議会のご協力をいただきながら、オール東京で一丸となり、ほかの自治体ともしっかりと連携をし、あらゆる機会を捉えて、都民の貴重な財源を守るための主張を戦略的かつ強力に展開していくと答弁されていますが、これまでのパフォーマンスや虚言ではなく、どのようにしてこの状況を打開し、都と区市町村等が一丸となって反対していく姿勢を構築するのか、知事の見解を伺いたいと思います。

◯小池知事

 ご指摘のように、東京の財源を不当に収奪して、都民生活を脅かす今回の税制度の見直しにつきましては、まさしく不合理なものでございます。
 これまでも、私みずから先頭に立ちまして、あらゆる機会で都の主張を発信してまいりました。
 加えて、平成三十一年度の税制改正につきましても、国の動きにはいち早く対応いたしまして、税財政をめぐる問題に関して幅広く理解を求めていく、そのために予算案の発表に合わせまして、都の基本的な考え、そして主張をまとめた冊子を公表もさせていただきました。
 こうした我々の主張につきましては、最終的には政府、そして国政与党の方々にもしっかりと理解していただくことが大切でございます。
 そのために、都議会の皆様とは緊密に連携をしながら、今お話もございましたように、都内の区市町村などオール東京が一丸となって活動していくことが最も重要と考えております。その先頭に立って頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

■来年度予算の見直しについて

○菅野委員

 知事は、いろいろなPR冊子などをつくったりして、確かに正面から国とけんかをするような姿勢を見せていますが、都民のための結果を出すにはどうしたらよいか、責任は知事自身にあることを忘れないでいただきたいと申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 昨日、我が会派の山崎委員の代表総括質問でも触れましたが、知事が就任直後の平成二十八年九月に立ち上げた都政改革本部の中心として、これまで二〇二〇東京五輪パラリンピック大会の会場見直しや入札制度改革などを主導してきた外部専門家による特別顧問などのポストを、今月末で廃止すると突然の発表がありました。
 これまで都政改革の名のもとに、五輪施設や市場問題、入札制度など、権限の曖昧な特別顧問らにちゅうちょすることなく都の重要案件を主導させ、都政をあたかも持論の実験台のようにされたあげく、結果を見れば、事態を後退させただけ、政策決定過程も見えないまま、多くの無駄な税金を投入する結果になったことは、今や多くの都民も承知しています。
 まさに我が党が繰り返し申し上げてきた顧問偏重、職員軽視、それこそブラックボックスであります。決められない都政の象徴でもありました。
 そして、繰り返しになりますが、今回の突然の特別顧問の廃止は、恐らくそうした批判を受けたため急遽決定されたものと思います。なぜなら、昨日の代表質問でも申し上げたとおり、平成三十年度の総務局予算には、都政改革事務費として五千五百万円、内訳として、顧問などへの報酬三千七百万円、旅費六百万円などが計上されているからです。
 もし、知事のお答えのように、職員に改革マインドが浸透し、都政改革の土台が築かれたためということであれば、どんな事実をもってそのことを確信し、知事自身がいつごろ決定したのでしょうか。
 その上で、あえて申し上げるならば、四月からは職員主体で改革を進めることである以上、まずはすぐに来年度予算を修正すべきと思いますが、いかがでしょうか。

◯武市財務局長

 東京都では、各局から予算要求があって以降、一月末の当初予算案発表までの間に社会経済情勢、あるいは事情変更などがあった場合には、それを最大限織り込みまして、予算案を発表してございます。
 一方で、当初予算案を議会でご審議いただくためには、議会へのご提案前に区切りをつけまして、取りまとめを行っていく必要がございます。
 こうした点も踏まえまして、例えば各種会議の変更でございますとか、国費の内示減への対応など、予算案を発表してから議決をいただくまでの間に生じた事情変更につきましては、従前より予算の執行段階で不用額として管理をさせていただいております。

■見える化改革の事業ユニット分析について

1.残りの事業分析について

○菅野委員

 やはり予算案として今回こうやって出ている以上は、そのときまでにきちんと方針が決まっていたものと思います。突然のこういった変更である以上は、突然の多分対応であったのであろうと思います。
 いずれにしても、四月から副知事や各局局長など職員主体になることには、職員もほっとしているのではないでしょうか。まずは安堵しています。
 さて、先日、これまでのその特別顧問などの取り組みの成果として、二〇二〇都政改革プラン素案が報告されました。今回の素案では、見える化改革として、まずは十五の事業ユニットについて都政改革本部での検討結果がまとめられています。
 事業ユニットは、全部で七十一ありますので、まだ五十六もの事業ユニットの分析が残されています。その作業はいつまでに着手し、報告をまとめられる予定なのでしょうか。
 知事のお答えからは、まさにこれから本格的に改革プラン検討を進めるべき時期に、これまで改革本部を主導されてきた特別顧問を廃止し、残りの事業分析をされるということになるわけです。本当に今後は職員主体で改革を進めるのでしょうか。お願いいたします。

◯小池知事

 見える化改革の事業ユニット分析でございますけれども、残りの全ての事業ユニットにつきましては、今年度中を目途に各局で現状の整理には着手することといたしております。そして、平成三十年度中に全事業ユニットの分析を終えるということを目指しまして、引き続き見える化改革に取り組んでまいる所存でございます。
 また、今後の都政改革でございますが、副知事、局長等の新たな推進体制のもとで、職員主体で進めていくものでございますが、そもそも自律改革ということで進めてまいりました。自分で律すると書いて自律改革でございます。まさしく、その自律改革が本格的にスタートをするということでございます。
 一方で、高度な専門的な知識を持つ方々など、外部の第三者からのアドバイスを取り入れることは有効な場合もございます。よって、必要があればアドバイスも頂戴するということを検討してまいります。

2.外部の第三者とこれまでの特別顧問の役割の違いについて

○菅野委員

 必要があれば外部の第三者からアドバイスをもらうことも検討されるとのことですが、その際、外部の第三者の役割とは今までの特別顧問とどう違うのか、教えていただきたいと思います。

◯小池知事

 今お話をいたしましたように、必要があれば外部の第三者からアドバイスをもらうことも検討したいということでございます。まさしく必要があれば高度な専門的知識を持つ方、そしてまた、必要な人材、適切な方に適切な方法でアドバイスをお願いすることによって、これからの都政改革をしっかりと前へ進めていきたいと考えております。

■視察船事業について

1.知事から港湾局への見直し指示と対応について

○菅野委員

 余り詳しくはお話しにならないので、今までの特別顧問はやはり単なるアドバイザーというよりもかなり、知事にかわっていろんなものを主導しながら、実際にみずからも動いているというような印象がありました。
 そういったようなアドバイザーであれば、やはり余り何も変わらないのではないかと思います。単に席が変わるだけというだけかもしれません。そういうことがないようにしていただきたいと思います。
 それでは、今回の改革プラン素案で報告された視察船事業について伺います。
 ご承知のとおり、視察船は現在、「新東京丸」として私の地元港区の竹芝を基点に活用されていますから、港区の区民も、もちろん都民も、「新東京丸」の東京港視察を体験させていただいております。
 現在の「新東京丸」は、昭和五十八年三月の竣工、三十四年も経過して老朽化が進んでいるということで、新たな代替船を新造することになりました。
 視察船の新造について記憶にあるのは、昨年の五月、当時のマスコミがこぞってこの視察船の問題を取り上げ、約二十億という建造費や、発注先が各国のセレブご愛用、世界的に有名なイタリアの高級クルーザーメーカーのアジムット・ベネッティであることに、豪華過ぎるとの批判を繰り返していたことを覚えています。
 ちょうど知事は、東京五輪に関する首都圏の九つの知事などが集まって費用負担問題を話し合った時期でもあり、上山特別顧問らが主導した五輪三施設の見直しなどが、結果うまくいかなかった直後ということもあって、週刊誌に、東京が発注した五輪のVIP接待用の豪華クルーザー問題を報じた本誌が発売された途端、小池都知事は、ご説明に来た都庁港湾局幹部に立腹を隠せなかったなどと書かれ、また、小池氏周辺は、ダメージが大きくなる前に建造計画を見直さざるを得ないよといっているとも書かれていました。
 五輪施設ではあれだけ費用削減、コストに執着して、ほかの自治体も巻き込んで開催地の変更まで行おうとしていた上山特別顧問や知事ですから、イタリアのメーカーへの発注も含めて大幅な見直しがあるかと思いました。
 そこで、知事は当時この豪華クルーザー批判に対する取材に、見直しをしているとお答えになっていましたが、知事から港湾局にどのような見直しの指示があったのか、教えていただきたいと思います。そして、港湾局として、その指示を受けて具体的にどう対応したのか、教えていただきたいと思います。

◯斎藤港湾局長

 視察船の新造船につきまして、知事からは、コスト面での大胆な見直しを行うとともに、さらなる活用策を検討するよう指示を受けました。
 これを受け、さらなるコスト縮減を図るべく、内装を簡素化するなどの見直しを行い、昨年十一月に契約金額を約三億円減額する変更を行ったところでございます。
 それとともに、新造船の活用策を幅広く検討する中で、多くの都民に乗船をいただくため、まずは現行の視察船で土曜日運航の拡大等を行うこととし、昨年十二月からこれを実施してございます

2.新造船建造について特別顧問からの指摘はあったのか

○菅野委員

 あわせて、その際に新造船建造について、上山特別顧問からは何の指摘もなかったのか、伺っておきたいと思います。

◯斎藤港湾局長

 視察船事業につきましては、知事からの指示により、都政改革本部、見える化改革において、都民ファースト、ワイズスペンディングの観点から、事業の意義、費用対効果等について総点検を行いました。
 昨年九月の都政改革本部会議におきまして、特別顧問から視察船の運航、保有形態には、用船、雇い上げる用船など、さまざまな方法があるが、新造船を建設し、その船を今まで以上に多頻度かつ多様な用途に活用していく方法が最も経済的であるとの助言を受け、その後、本事業の効果的な運営に取り組んでおります。

3.上山特別顧問の再任の可能性について

○菅野委員

 今のご報告は、今回の改革プランの中にとか、検討過程の資料もいただきましたので、その中にも載っておりましたので確認をさせていただいております。
 私は別に視察船のマスコミ記事を肯定する立場ではないんです。世界一の都市を目指す東京都の視察船が世界的に有名な会社でつくられようと、それなりに豪華であっても、視察船事業が都民にとって本当に有意義な取り組みであればよいわけで、それが大きな効果を生めば、それが一番であると期待をしています。
 この報告をまとめられたのは、今申し上げられたとおり、上山特別顧問と宇田特別顧問のお二人が担当と聞いております。先ほどの局長答弁にもあったとおり、視察船新造問題についても含め、上山特別顧問からは、都政改革本部の見える化改革で点検するとのことでした。
 しかし、報告書では、利用者層の拡大等による一人当たりコストの削減とまとめられた上で、その報告の最後に、新造船の有効活用については、問題となった見直しではなく、新造船建造が最適と結論づけています。
 あれだけ世間を騒がせた新造船の調達費は、港湾局の努力のかいもあって、内外装などを安価なものにしたということですが、約三億円減額したそうです。しかしながら、とはいえ約十七億の買い物です。それを耐用年数を考慮し、活用を拡大すれば割安だという結論は、余りにも安易ではないでしょうか。
 報告をまとめたのは上山特別顧問です。報告書にある特別顧問の助言では、運航、保有については、現行船にかわる新造船の建造が最も経済的と書かれ、そして、昨年九月の改革本部会議での意見も上山特別顧問のみが発言され、新造船を建造することが悪いという認識があったように思うが、投資すべき領域であることが検証できたと担当者みずからが自身の出した結論を後押しするかの発言で、具体性に欠ける改革報告になっています。
 ほかの事業ユニットの検証では、知事や都の理事者が意見を述べていることが多く見られます。
 そもそも視察船事業の意義とは何なのでしょうか。報告は単に船の活用拡大に結論づけただけで、文化イベントや民間への船舶貸与などで収益確保することが対策として最適とするものです。
 極端な話、視察船を有料にすればよいといわれているようなもので、これでは視察船事業そのものの改革プランの結論というかがっかりしてしまう結果であります。
 うがった見方をすれば、これまで特別顧問や特別参与など外部からの専門家の役割は、どちらかといえば話題づくり、それも世間をあっといわせるもの、つまり五輪三施設見直しや市場問題PTなどです。
 今や、当時話題となった特別顧問などの理論はとっくに崩壊し、騒ぎは大きくなったけれども、結果は変わらずでした。
 今回の視察船の話は逆で、昨年五月に豪華過ぎると騒がれたため、今度は火消しに回ったのではないかとも思いたくなります。
 特別顧問らの行動に何らかの意図的な力が働いたとすれば問題です。それとも、視察船新造費の詳細な中身に余り触れなかったのには、上山特別顧問に何かあるのかとも思いたくなります。
 いずれにしても、特別顧問を廃止し、彼らの机上の論理に振り回された改革から、知事のおっしゃる、職員の自主性、自律性による、より実践的な改革に変わる以上、外部専門家などのアドバイスと称して、その名称は何であろうと、二度とこれまでの特別顧問のような役職をつくらないでいただきたいと思います。
 そこで、最後に、知事にもう一回伺っておきたいと思います。
 長年、これまで知事の進める改革の中心としてかかわってきた上山特別顧問は、その名称、立場はともかく、今後アドバイザーとして都に再任するつもりはあるのでしょうか、はいかいいえでお答えください。

◯小池知事

 必要な人材、適切な人材、そして適切な方法で都政改革本部をしっかりと前へ動かしていきたいと考えております。必要な人材であるということであるならば、都政改革本部のアドバイスをいただくということは、誰であっても可能だと思います。

■東京百五十年事業について

1.都の百五十年事業への取り組みについて

○菅野委員

 上山特別顧問も、今の答弁では、必要であれば再び再任することもあり得るということと理解させていただきます。
 それでは、続いて、東京百五十年事業についてお伺いします。
 江戸が東京に改められてから百五十年、ぜひこの近代都市東京の出発点としての節目を大いに盛り上げてほしいと期待しています。
 また、二〇二〇年大会を迎えるに当たっても、この機会にしっかりと都民の皆様に東京の魅力を伝えていく事業にしていただきたいなと願っています。
 このために、最近の例で参考になるのは、平成十五年の江戸開府四百年事業です。この事業は、東京商工会議所が中心となって行われましたが、各地域や民間団体でさまざまな取り組みが実施されて、東京が当時祝賀ムードに染まった一年となりました。
 江戸開府四百年と東京百五十年では趣旨や背景が異なることは承知していますが、こうした事例を踏まえ、都として、百五十年事業にどのように取り組むのか伺いたいと思います。

◯遠藤政策企画局長

 お話しのように、江戸開府四百年事業では、東京商工会議所を中心といたしまして、民間団体や各地域が広報やイベントなど多くの事業を展開いたしました。
 東京百五十年事業では、伝統と革新が共存する東京の魅力を都民の皆様に再認識、再発見していただくことを目的としており、さまざまな主体と幅広く連携していくことが重要でございます。
 このため、商工会議所や区市町村、民間事業者等に協力を依頼するとともに、各団体が事業に参加しやすいよう、統一的なロゴマークの作成や、かっぱのバッジの復刻などの企画を進めているところでございます。
 今後、東京全体の盛り上げを図るため、さまざまな団体への働きかけや連携できる事業の掘り起こしなどを積極的に進めてまいります。

2.受託事業者について

○菅野委員

 かっぱバッジは、お話を聞きました。確かに私の──知事もそうかもしれませんが、世代には懐かしいと思います。たしか十月一日の都民の日には、バッジがあると都立の施設に無料で入れたなという記憶があります。
 ただ、東京に当時いなかった方とか、若い方もたくさんいらっしゃいます。そういう方にはどうでしょうかね、何かもう一工夫必要じゃないかと思います。
 江戸から東京になって百五十年、そして、この先へ結びつけるというのが大事なメッセージです。ぜひその一工夫をしてほしいと思います。
 ところで、この事業の受託事業者はどちらか聞いておきたいんですが。

◯遠藤政策企画局長

 東京百五十年事業につきましては、今年度、広報素材等制作及び企画業務について企画提案方式を採用いたしまして、事業者の募集を行い、外部委員を加えた企画審査会において、株式会社博報堂を受託業者として決定したところでございます。

3.ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックへどうつなげていくのか

○菅野委員

 博報堂さんということで、ぜひ今のような趣旨、この事業の趣旨をしっかりと理解をいただいて、目に見える成果をそれこそ出していただきたいと思っています。
 江戸四百年と比較して、今お話を聞くだけでは、東京百五十年の取り組みはいかにも小粒なように感じます。また、三十年度予算には、東京百五十年事業や小笠原返還五十周年事業など、不思議なほど多くの周年行事が盛り込まれていますが、総じて小粒感が否めないと思っています。
 ここで一旦立ちどまって考えるべきなのは、こうした周年事業は、知事の発案によって都単位で計画されているケースが目立つということです。東京百五十年は、政府が同時に明治百五十年事業を実施する予定と聞いていますし、小笠原返還五十周年も、国は周年事業として記念硬貨などを発行しています。
 昨日、代表質問でお聞きしたパリ東京タンデムも、都側は余り発信していないようですが、在日フランス大使館のホームページには、日仏交流百六十周年を迎えるに当たり実施する事業としています。
 周年行事には、国内外に東京の存在をアピールする絶好の機会として、最大限に活用していただきたいと思います。
 国や民間とも連携し、しっかりと計画を立て、進めていくことを強く要望すると同時に、一年後のラグビーワールドカップ、そして二年後のオリンピック・パラリンピック、これに向けた機運醸成に一体どのようにつなげていくのか、その決意を伺いたいと思います。

◯遠藤政策企画局長

 国内外から大勢の観戦客や観光客を迎えるラグビーワールドカップ並びに東京二〇二〇年大会の成功に向けましては、ホストとなる都民の皆様に東京への理解と愛着をさらに深めていただくことが重要だと考えております。
 このため、オリンピック・パラリンピックからは開催二年前となる来年度に実施する東京百五十年事業をきっかけといたしまして、より多くの方々に歴史、文化、技術など、東京の都市としての魅力を改めて発見、再認識していただけるよう、さまざまな取り組みを展開することを通じまして、ラグビーワールドカップ、東京二〇二〇年大会の機運醸成につなげてまいりたいと考えております。

■多摩・島しょ地域の消防団に対する支援について

○菅野委員

 先ごろカレンダーが配られましたけれども、ちょっとカレンダーとしては何かすごく日付が見づらくて、ポスターとしてはいいのかもしれませんけれども、ちょっとカレンダーとしてはどうなのかなというような印象でした。
 いずれにしても、そういった成果物だけで満足しないで、ぜひしっかりと盛り上げていただきたいと思います。
 続いて、多摩・島しょ地域の消防団に対する支援についてお伺いします。
 日ごろから地域防災のかなめとして活躍されている消防団を応援する一人としてお聞きします。きょうは、私は区部の人間ですが、多摩・島しょの議員にかわってお願いをしたいと思います。
 多摩・島しょ地域の消防団というのは、受け持つエリアや役割も大きく、時には消防署隊に先んじて初期消火に当たるなど、地域の安全にとって大変重要な存在です。
 ところが、今般の道路交通法の改正に伴い準中型免許が新設され、今まで普通免許で運転できる車両総重量が引き下げられた結果、消防ポンプ車の運転ができない団員が出てくるという事態となっています。
 この準中型免許の問題は、地域防災力の中核である消防団の将来にもかかわる大きな課題でありますから、消防団長の皆さんもこの事態を大変憂慮しています。ぜひ都としても、多摩・島しょ地域の消防団員の準中型免許取得に向けて、早急に取り組んでいただきたいと思います。
 また、無人航空機、いわゆるドローンは、災害時に出火箇所への接近が困難な林野火災における火災状況の把握や、要救助者の捜索等に有効であるといわれています。多摩・島しょ地域の消防団での活用が大きく期待されることから、その貸し付けに当たっては、消防団員に対する研修も行うべきと考えます。
 あわせて今の二点について見解を伺いたいと思います。

◯多羅尾総務局長

 多摩・島しょ地域の消防団は、消防ポンプ車等、重量のある車両を運用して災害対応に当たっており、道路交通法の改正により、将来的に当該自動車の運転者不足が見込まれております。そこで、多摩・島しょ地域の消防団を管理運営する市町村が対策に着手する必要がございます。
 都としては、市町村が準中型免許取得の公費負担制度の創設に取り組むよう、情報提供や助言など必要な支援を行い、消防団の活動環境の整備に努めてまいります。
 また、多摩・島しょ地域の消防団が無人航空機、いわゆるドローンを有効に活用できるよう、消防訓練所において操作方法や安全管理等に関する研修を実施してまいります。

■宿泊施設のバリアフリー化を促進する取り組みについて

○菅野委員

 障害者や高齢者が観光やビジネスなどで都内宿泊施設を安心かつ円滑に利用できるよう、宿泊施設のバリアフリー化を一層促進する取り組みを伺いたいと思います。
 現在開催中の平昌パラリンピックでは、連日多くのパラリンピアンが活躍しています。次はいよいよ東京大会です。
 東京二〇二〇大会では、パラリンピアンなどのアスリートのみならず、国内外から多様な観光客が来訪されます。
 報道によれば、国際パラリンピック委員会からも日本のホテルはバリアフリー対応の客室が少ないとの指摘の声が上がり、宿泊施設のバリアフリー化など、観光客などが都内の宿泊施設を快適に利用できる環境を整備していくことが喫緊の課題です。
 しかし、宿泊事業者には、改修工事後の客室数の減少や費用の捻出が困難などの理由で、改修工事に着手できない現状もあるようです。
 こうした現状の中、何としても宿泊施設のバリアフリー化を加速させる必要があると思いますが、取り組みを伺いたいと思います。

◯藤田産業労働局長

 都は、障害者や高齢者等が宿泊施設を安全で快適に利用できるよう、スロープの設置などの施設の改修や、車椅子などの備品の購入等について助成を行っているところでございます。
 来年度からは、宿泊施設のバリアフリー化を加速させるため、補助対象の拡充を図ってまいります。
 具体的には、法令等によるバリアフリー化の義務づけがない一千平米未満の改築等を行う場合、補助率を二分の一から三分の二にいたしますとともに、補助限度額を最大で四千二百万円に引き上げます。また、一千平米以上の改築等を行う場合、法令等で義務づけられた設置基準を上回る客室等の整備につきましても、新たに補助の対象としてまいります。
 こうした取り組みにより、旅行者が宿泊施設を快適に利用できる環境を整えてまいります。

■観光事業者への支援について

○菅野委員

 そして、障害者や高齢者が積極的に外出をして、さまざまな交通機関などを快適に利用しながら旅行などを行えるような受け入れ環境の整備、いわゆるアクセシブル・ツーリズムの充実に向けた取り組みもする必要があるかと思います。
 障害者や高齢者などが都内観光を楽しむためには、宿泊以外にも、食事や買い物などのさまざまな場面で快適に過ごせる環境を整備していく必要があります。
 そのためには、先ほどの宿泊施設のバリアフリー化などの整備とともに、各観光事業者が利用者目線に立った配慮や行動をするなど、ソフト面での取り組みが重要です。
 しかし、現状は障害者の特性に応じた対応のノウハウの不足などにより、必要は感じていながらも、障害者などの積極的な受け入れに踏み出せない事業者もあると聞いています。
 そこで、観光事業者が障害者や高齢者の受け入れに積極的に取り組めるよう、都として支援していく必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

◯藤田産業労働局長

 都は現在、障害者や高齢者等の受け入れ環境の整備を進めるため、観光事業者や都民向けのシンポジウムを開催いたしますとともに、障害等の状況に応じたサポートの仕方について助言を行う相談員の派遣等を実施しているところでございます。
 来年度は、観光事業者による取り組みを促進するため、受け入れノウハウ等の情報提供を充実させてまいります。
 具体的には、サービス面での工夫や配慮、備品等を活用したバリアフリー対策など、有効な対応策をまとめた事例集を作成し、周知を図ってまいります。
 また、経営層等に対し、施設や接遇の改善などに取り組むことの意義やメリット等について解説するセミナーを実施いたします。
 こうした取り組みにより、観光事業者の理解を深めるとともに、受け入れ体制を向上させてまいります。

■保育サービスの充実について

1.保育所へのさらなる支援の充実化について

○菅野委員

 それでは、続いて、都の重要課題の一つでもあります保育サービスの充実について何点か質問させていただきます。
 待機児童対策としての保育サービスの受け皿については、認可、認証、認可外施設のほか、来年度はベビーシッターへの補助も提案されていますが、できることなら、本来、子供の成長を考えると、一対一のベビーシッターよりも、集団でほかの子供と触れ合う環境での保育の方が望ましいと考えます。
 保育ニーズ実態調査からもわかるように、多くの親御さんが希望している認可、認証、幼稚園といった施設の整備や支援を、これからも保育の受け皿の柱として行政は推進していかなければなりません。
 中でも、大都市特有の保育ニーズに対応するため、石原都政時代、東京独自の基準を設けて都とともに我が党が推進してきた認証保育所は、創設以来十七年がたち、これまで東京の待機児童対策の重要な一翼を担ってきました。
 認証保育所は現在約二万人の子供たちが利用しており、引き続き事業者の創意工夫をもとに良質な保育サービスが提供されるよう、来年度においてもさらなる支援を充実すべきと考えます。見解を伺います。

◯梶原福祉保健局長

 大都市特有の保育ニーズに対応するため、十三時間開所やゼロ歳児保育などを義務づけた認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つでございまして、都は、認可保育所と同様に、保育士等のキャリアアップに向けた取り組みや宿舎借り上げ支援、保育士等の業務負担を軽減するためのICT化の取り組みなど、さまざまな支援を実施しております。
 来年度は、認証保育所で働く保育士等の専門性の向上を図るため、運営費補助に技能、経験に応じた職員への処遇改善を行う場合の加算を創設いたします。
 また、建物、設備が老朽化している場合には、良好な保育環境を整備するため、修繕に係る費用の補助も開始し、認証保育所を支援してまいります。

2.認可保育園から認証保育園への移行と支援について

○菅野委員

 認証保育所は認可保育所に比べ整備が早く、待機児の九割を占めるゼロ歳、一歳、二歳の低年齢児の定員割合が高いなど、待機児対策としても効果が高いです。
 今後、保育ニーズの受け皿の一つである認可外保育施設について、都として、保育の質を向上させるためにも、認証への移行を促して支援する必要があると考えます。見解を伺いたいと思います。

◯梶原福祉保健局長

 認可外保育施設の質の向上を図り、待機児童の解消に向けた受け皿を拡大するため、来年度から認証化移行支援事業を開始いたします。
 この事業では、認証保育所への移行を目指す認可外保育施設に対して、保育士の配置割合に応じた運営費の補助を行います。
 また、給食提供のための調理設備の設置など、既存物件の改修に係る経費や、より広い施設等に移転する場合の費用を支援いたしますとともに、移行に向けて必要な財務や建物設備関係等に関するコンサルタント費用も支援することとしております。

3.預かり保育に協力する私立幼稚園への支援について

○菅野委員

 待機児ゼロという目標は大切ですが、単に数字がゼロになるだけではなくて、子供たちの保育の質がしっかり確保されるよう取り組んでいただきたいと思います。
 さて、東京の私立幼稚園は、建学の精神と独自の教育理念に基づく個性豊かな特色ある教育を展開するだけでなく、昨今では、待機児童対策という都市のニーズに応えて、多くの幼稚園が預かり保育にも取り組んでいます。
 共働きの世帯がふえる中で、預かり時間を延長してほしいという声も多く聞きます。こうしたニーズに応えるには、幼稚園が幼児教育に支障を来すことなく、しっかりと預かり保育に取り組むことができる環境を整える必要があると思います。

 都は、預かり保育に協力する私立幼稚園を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います

◯塩見生活文化局長

 都はこれまでも、預かり保育に取り組む幼稚園に対し、その内容に応じた支援を行っており、今年度からTOKYO子育て応援幼稚園事業を立ち上げました。
 来年度からは、この事業において預かり保育の長時間化、通年化を一層促進するため支援の充実を図るとともに、幼稚園における二歳児受け入れ推進を図るため、国の補助とあわせて、都独自の補助を新たに実施いたします。
 今後とも、お話の共働き世帯等の幼稚園での教育を望む保護者の期待に応え、待機児童解消にも資する預かり保育に取り組む私立幼稚園を積極的に支援してまいります。

4.施設等によって無償化の取り扱いに差が生じることについて

○菅野委員

 幼児教育を尊重する、都の待機児童対策にも理解いただいている私立幼稚園に対して、今後とも都の力強い支援をお願いしたいと思います。
 さて、政府は、人づくり革命の一つとして幼児教育の無償化を打ち出しました。無償化に関しては、政府は平成三十二年度から実施されるとしていますが、現在、幼稚園において無償化の対象範囲とされているのは、あくまでおおむね四時間の教育時間に対応した部分であり、幼稚園が教育時間の前後に行っている預かり保育については、認可外保育施設等の取り扱いとあわせて、専門家の声を反映する検討の場を設け、本年夏までに結論を出すと聞いています。
 待機児童解消の観点からも、保護者が利用する施設等によって無償化の取り扱いに差が生じるべきではないと考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。

◯塩見生活文化局長

 幼児教育の無償化に当たっては、利用する施設等によって差を設けるべきではなく、限られた教育、保育資源を最も効果的に活用するため、幼稚園における預かり保育についても待機児童解消に向けた取り組みの一つとして、公平に取り扱うことが重要であると認識しております。
 現在、政府の有識者会議で無償化に関する検討が行われておりまして、都といたしましては、この国の動向を注視してまいります。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/budget/2018/3-09.html