平成27年 東京都議会第1回定例会最終日 討論
平成二十七年東京都議会会議録第六号
平成二十七年三月二十七日(金曜日)
出席議員 百二十五名
平成27年3月27日、本会議定例会にて、平成27年度予算案に関連して都議会自由民主党を代表して討論を行いました。
■平成二十七年度予算案に関連して
1.平成27年度予算案について
東京都議会自由民主党を代表し、本定例会に付託された議案中、第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算外知事提案の全ての議案に賛成する立場から、そして、議員提出議案第一号、国民健康保険料又は国民健康保険税の補助に関する条例に反対する立場から討論を行います。
本定例会は、先般の代表質問で申し上げたとおり、都政運営の羅針盤である長期ビジョンを軸として、東京を世界で一番の都市にするため、本格的なスタートを切る重要な議会でありました。
舛添知事が初めて一から手がけた平成二十七年度予算案の審議を初め、都民が直面する喫緊の課題や東京の将来を見据えた方向性など、多岐にわたる都政の重要事項について、二元代表制のもとで我々都議会と知事とが建設的かつ真摯に議論を交わすことができました。
さて、平成二十七年度予算案では、都民福祉の充実による生活の質の向上や、日本経済を力強く牽引する取り組みなど、東京五輪パラリンピックとその先の明るい未来に向け、積極果敢に施策を展開するものとなっています。とりわけ、災害に強いまちづくり、都民の利便性、快適性や東京の国際競争力の向上に資する投資的経費は十一年連続の増加となり、十七年ぶりに一兆円を超える水準になっています。
その一方で、施策の効率性や実効性を向上させる自己改革の取り組みを徹底した上で、都債を前年度と同水準の発行に抑えるとともに、集中的、重点的な施策継続を担保するために新たな基金を創設し、執行体制強化に向けて四十一年ぶりに職員定数をふやすなど、強固で弾力性のある行財政基盤の構築を図っています。健全で力強い行財政運営なくしては、世界で一番の都市東京は実現できません。
平成二十七年度予算案は、都民にとって真に必要な施策の充実と、それを支える行財政基盤の構築という二つの命題にしっかりと応えたものであり、高く評価いたします。
それでは、本予算案の各分野の重要事項について申し上げます。
2.平成27年度都税収入と地方創生の実現に向けた税財政制度の確立に向けて
平成二十七年度の都税収入は、堅調な企業収益を背景に、四年連続の増収が見込まれていますが、中国やギリシャなどの海外経済の不確実性の高まりが、我が国経済を下押しするリスク要因として懸念されております。
リーマンショックを引き合いに出すまでもなく、都税収入は海外の経済動向にも大きく左右されます。そのため、その先行きは決して楽観視できる状況にはありません。
また、国による地方法人課税の不合理な偏在是正措置により、来年度は約三千億円もの貴重な財源が奪われる見込みです。
我が党は引き続き、この偏在是正措置の撤廃と地方税への復元、そして、真の地方創生の実現に向け、都市と地方がともに栄え、日本再興を支える税財政制度の確立を、都と一体となって国に強く働きかけてまいります。
3.歳出と都市づくりについて
東京を世界で一番の都市にする努力の中で、都市づくりが最も時間と予算を要します。東京五輪パラリンピックまであと五年というこのタイミングで、都市機能における世界で一番を目指し、二十年、三十年後を見据え、都市づくりへの道筋をつけるグランドデザインをしっかりと描くことが重要です。
そして、区部放射環状道路、多摩南北道路などの整備を進めるとともに、東京圏のさらなる発展を目指し、戦略的な鉄道ネットワークの構築など、総合的な取り組みを強力に推進していかなければなりません。
4.防災対策について
都民の安全・安心を確保し、東京を災害に強い安全なまちにするためには、木造住宅密集地域の改善や建物の耐震化、津波、豪雨、土砂対策をスピード感を持って推進していかなければなりません。
引き続き、住民の理解と協力を得ながら、国や区市町村、周辺県市とも十分に連携し、高度防災都市の実現に向けて邁進していただきたいと思います。
大島町の台風被害から間もなく一年半が過ぎようとしています。いまだ復旧、復興の道半ばであり、引き続き、生活再建への支援、インフラの復旧整備、産業、観光の振興、危機管理体制の強化などに全力で取り組んでいくことが必要です。
今後も、町と十分に連携をとりながら、復興に向け全庁を挙げて取り組んでいくことを強く求めます。
5.都民福祉の向上について
待機児童の解消や介護サービスの拡充を進めるには、施設整備とあわせて、安定的な人材確保が不可欠です。都は来年度、新たに保育士、介護職員のキャリアアップに取り組む事業者を支援する補助制度や雇用対策などを実施することとしており、高く評価します。引き続き、東京の実情をしっかりと踏まえ、福祉人材の確保、定着、そして再就業に向けた取り組みを積極的に進めていくことを強く要望します。
福祉先進都市の実現には、子育て環境の充実、高齢者支援、障害者に対する生活支援、医療体制の確立など課題が山積しています。さらに、東京の地域特性を踏まえた地域医療構想の策定も大きな課題です。
今後も、国や区市町村との連携を一層密にし、実効性の高い施策を積極果敢に展開していくことを改めて求めておきます。
6.産業の振興について
東京の産業の活力を一層高めるためには、地域の経済や雇用の中核を担う中小企業に、経済の好循環をしっかりと波及させ、持続的な成長につなげていくことが重要です。
平成二十七年度予算には、制度融資などによる中小企業の経営安定化支援はもとより、次世代の技術開発支援や海外も視野に入れた販路拡大、起業、創業の促進に向けた取り組みなどが盛り込まれております。
引き続き、現場の声に耳を傾け、区市町村や関係機関とも連携をしながら、中小企業の経営を強力に後押しすることを要望します。
7.環境政策について
東京を世界一のスマートエネルギー都市にするには、CO2削減、省エネルギー対策や低炭素エネルギーの普及拡大などを総合的に展開していくことが重要です。
そして、次世代エネルギーである水素の活用も必要です。都はこれまで、我が党の要望に応え、インフラ整備に積極的に取り組んできました。
今回、新たな基金を創設し、四百億円の財源を積み立てたことは、時流を捉えた判断と考えます。
環境先進都市構築に向けて、複合的な施策を積極果敢に展開するよう、知事の強いリーダーシップを期待します。
次に、多摩・島しょ振興について申し上げます。
都は、長期ビジョンに多摩・島しょ振興を柱の一つとして明確に捉え、知事も就任以来、精力的に現場を回っています。
今後、多摩・島しょが地域特性を発揮し、持続的に発展していくには、少子高齢化への対応や交通インフラの充実、防災対策の一層の強化などが不可欠であります。魅力にあふれ、活力に満ち、安全・安心が確保された多摩・島しょ地域を目指し、その振興を着実に進めていくことを要望いたします。
8.教育、文化政策について
今回、都は、都立高校の特別教室について、新たに冷房化の対象とする教室を選定するとしました。今後は、小中学校の特別教室についても早急に検討されることを改めて求めておきます。
また、五年後の東京五輪パラリンピックは、世界中の人々に日本の文化、歴史、伝統に触れてもらう絶好のチャンスです。
今回策定した東京文化ビジョンや東京ブランディング戦略が絵に描いた餅にならぬよう、実現に向けてしっかりと取り組むとともに、あらゆる機会を捉え、東京の価値ある多様な魅力を世界に効果的に発信していくよう要望いたします。
9.東京五輪パラリンピックの開催準備について
いよいよ来年度からは大会開催に向けた準備が本格化します。我々は、大会後の東京の将来をしっかりと視野に入れ、有形無形のレガシーを次世代に継承し、都民生活の向上に確実につなげていかなければなりません。
区市町村を初め関係機関と意思疎通を十分に図り、全庁一丸となって、ハード、ソフト両面で積極的かつ着実な取り組みを推進していくことを改めて求めておきます。
以上、平成二十七年度予算案に関連して申し上げました。
都議会自由民主党は責任政党として、これからも、予算の執行管理とともに、状況の変化に応じて、適時、必要な政策提言を積極的に行い、知事とともに汗をかき、東京を世界で一番の都市にするという目標に向けて、全力で邁進していくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。(拍手)
【都議会リポート】
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2015-1/06.html