令和元年 東京都議会第2回定例会最終日 討論

令和元年東京都議会会議録第十二号

令和元年六月十九日(水曜日)
 出席議員 百二十三名

令和元年6月19日、本会議定例会にて、今定例会に付託された知事提案の議案に賛成する立場から、都議会自由民主党を代表して討論を行いました。

■築地まちづくり方針について

○十三番(菅野弘一君)

 私は、東京都議会自由民主党を代表して、今定例会に付託された知事提案の議案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、昨夜発生した山形県沖を震源とする最大震度六強の強い地震により被災をされた多くの方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、令和の時代が幕あけしました。我が党は、令和の時代が平和と希望に満ちたものとなるよう、これからも都民生活の安全・安心を守り、都政運営の安定と発展に向けて、全精力を傾注していく所存であることをまずもって表明いたします。
 初めに、築地まちづくり方針について申し述べます。
 第一回定例会が閉会したまさにその翌日、都議会への説明も一切ないまま、突如築地まちづくり方針が発表されました。あたかも閉会を見計らったかのようなタイミングで素案の書きかえを行い、築地に市場を整備しないという文言を明文化し、食のテーマパークのかわりに食文化という文言を使用するなど、これまでの知事の変節と矛盾の既成事実化を図るための方針そのものであります。
 さらに、東京の将来に大きな影響を与える再開発事業でありながら、財政的裏づけもなく、埋蔵物調査や土壌汚染対策に要する年月も未確定であり、整備計画も第ゼロ段階から第四段階という曖昧なイメージしか示されておりません。
 都は、今後、再開発を具体的に進めていくとのことですが、余りにも全てが漠然とした方針のまま、五年以内に着手するという知事の発言につじつまを合わせるだけの場当たり的な対応に終始することとなれば、将来に大きな禍根を残すものとなります。築地再開発をどのように進めていくのか、早急に具体案を示すことを強く求めます。
 また、豊洲市場開場のおくれは、ほかの市場の施設整備に大きな影響をもたらせています。
 都は、開設者の責任として市場施設の整備、更新を遅滞なく進め、市場の活性化を図っていくことを強く要望します。

■二〇二〇大会時輸送について

 次に、大会時輸送について申し上げます。
 我が党は、以前より、大会成功の鍵は円滑な輸送の実現にあると繰り返し問題提起を行ってきました。
 大会時の交通量の削減には、企業や都民の理解と協力が不可欠となりますが、大会時の交通規制がどうなるのか、詳細な内容がいまだ明らかとなっていません。企業や団体の対策と取り組みを後押しするためにも、早急に具体的な輸送運営計画を示すことを強く求めます。
 また、大会の一年前となる今年の夏は、大会本番を見据えたさまざまな試行や検証が行える最初で最後の機会となります。
 この貴重な機会を捉えて、安全な観客誘導や円滑な大会輸送の実現に向けて、関係機関や企業などとも連携しながら、万全の準備を進めていくよう強く求めます。

■働き方改革について

 次に、働き方改革について申し上げます。
 働き方改革関連法が施行され、来年度から中小企業にも適用されますが、人手不足が深刻化している中小企業にとっては簡単に進められるものではなく、多くの課題があります。
 二〇二〇大会時の輸送の問題や労働時間など、経済界や業界団体から不安や懸念の声が届いている今、中小企業の働き方改革が円滑に進むよう、国と連携し、支援できるよう強く求めます。
 次に、ラグビーワールドカップについて申し上げます。
 九月二十日の開幕戦がいよいよ間近に迫ってまいりました。試合会場となる東京スタジアムを初め全国十二会場のチケットの売れ行きは大変好調だと聞いておりますが、大会の盛り上がりを高めていくためにも重要となるのが、パブリックビューイングなどのラグビーイベントが楽しめるファンゾーンです。
 特に、東京のファンゾーンとして決まった区部会場は、東京の中心というだけではなく、全国の十二会場をつなぐ結節点でもあり、日本全体のファンゾーンとして大きな期待が寄せられています。
 十二会場のライブ中継や物産イベントなどの開催を通じて、約七週間にわたるワールドカップをさらに盛り上げるための取り組みとなるよう強く求めます。

■犯罪被害者の支援について

 次に、犯罪被害者の支援について申し上げます。
 先月末、大変痛ましい殺傷事件が川崎市で発生しました。事件の再発防止に取り組むことはいうまでもありませんが、我々は同時に、こうした犯罪被害に苦しむ被害者やそのご家族に対する支援や救済など、施策の充実を図っていくべきであります。
 本定例会において、知事は犯罪被害者支援条例の制定を目指すとの意向を示されましたが、なぜ今となって条例なのか、知事は説明を尽くすべきであります。
 我々は、条例を制定する意義そのものは否定をしませんが、条例がどのような影響をもたらすのか、都からの説明も情報もなく、実際に支援を行う区市町村からは困惑の声も聞こえてきております。
 支援の最前線に立つ区市町村の不満や不信を招かぬよう、丁寧に情報提供を行い、区市町村の意向や要望を十分に聞きながら、慎重に取り組むことを強く求めます。

■高齢者の運転免許証の自主返納について

 次に、高齢者の運転免許証の自主返納について申し上げます。
 高齢運転者による交通事故がたび重なる中、高齢運転者の交通事故防止対策が急務となっていますが、その効果的な対策の一つが運転免許証の自主返納であります。
 運転能力や体力の低下など、高齢運転者の方々が自分自身の限界を感じた際には、運転免許証を返納することこそが、事故の防止につながるだけでなく、返納者やその家族が事故の当事者になるかもしれないという懸念を払拭できる最善の策であります。
 高齢運転者に対する運転免許証の自主返納を一層働きかけるとともに、返納後の支援やサポートの充実を強く求めます。

■島しょ地域の振興について

 次に、島しょ地域の振興について申し上げます。
 昨年、小笠原諸島は日本に返還されて五十周年を迎えましたが、村民生活の安定と村の自立的発展の観点から、航空路の開設は返還以来長年の悲願となっております。
 自然環境と両立する航空路の開設に向けて、都はこれまでも、さまざまな調査検討を実施してきましたが、一刻も早く具体的な航空路案を示すことを強く求めます。
 また、同じ小笠原村の硫黄島では、都が毎年実施する戦没者追悼式には希望する多くのご遺族が参列できず、また、強制疎開後ふるさとに帰島できない旧島民の方々を対象とした慰霊墓参も、定員が限られている状況です。
 希望者の願いや思いに寄り添い、参列者や参加者の拡充を図ることを強く求めます。

■環境施策について

 次に、環境施策について申し上げます。
 知事は先月、国際会議の場で、二〇五〇年までにゼロエミッションを実現すると宣言をし、本定例会でも東京から世界を変えていくと表明をされましたが、重要なのはパフォーマンスではなく具体策であります。
 都庁推進会議を立ち上げ、全庁一丸となって率先して推進するといいながら、RE一〇〇では、都庁の全庁舎ではなく第一本庁舎のみにとどまるような中途半端な取り組みでは、実現に向けた道筋も全く見えてきません。
 高い目標を掲げるだけではなく、実効性ある具体的な取り組みを示すことを強く求めます。
 また、地球規模の重要課題である廃プラスチック処理は、今後国内処理が一層求められる状況にあります。
 廃プラスチックの発生抑制に努めるとともに、健全なリサイクルビジネスの振興や再生利用など、業界団体や区市町村と十分に連携を図りながら、短期、中長期両面にわたる具体的な取り組みの促進を強く求めます。

■新な長期計画の策定について

 最後に、新たな長期計画の策定について申し上げます。
 我が党は、東京を世界で一番の希望と活力あふれる成熟した都市へと発展させていかなければならないと一貫して主張してまいりました。
 そのためには、都の行政施策を総合的に推進させていく骨太の中長期計画こそが重要であり、こうした観点から、昨年の第三回定例会の代表質問において、直ちに長期計画の策定に着手すべきとの提言を小池知事にしたものであります。
 東京の将来を見据えた計画的な都政運営に努めることは知事の責務です。にもかかわらず、当時の知事の答弁は、策定済みの実行プランの政策をブラッシュアップしていくとしただけでありました。
 あれから一年近くもの時間を浪費し、みずからの任期が終盤になったこの期に及び、まさに遅きに失する形でようやく長期計画の策定を表明された、このたびの知事の責任は非常に重いといわざるを得ません。
 我が党は、この失われた時間を取り戻し、都民の皆様が東京の未来に夢を託せる長期計画となるよう、全力で取り組むことをお約束申し上げます。
 以上、都政には多岐にわたり解決すべき重要課題が山積をしております。
 我が都議会自民党は、令和の時代も都民の与党として、これからも二元代表制のもとで、知事と本質的な議論をしっかりと行いながら、真の都民のための都政の実現を図るべく全力を傾けていくことをお約束申し上げまして、討論を終わります。
 ありがとうございました。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2019-2/04.html