令和2年 都市整備委員会 意見開陳

令和2年3月19日の都市整備委員会にて、東京都議会自由民主党を代表して都市整備委員会に付託された令和二年度東京都予算関係議案について意見の開陳を行いました。

○菅野委員

 都議会自民党を代表して、本委員会に付託されました令和二年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 令和二年度予算案は、東京都民の日常生活や東京の経済活動に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス対策に迅速かつ的確に対応するとともに、二〇二〇年大会を成功させ、同時に防災対策、医療福祉、子育て支援、女性活躍、中小企業支援などの行政課題に適切に対応することで、大会後の東京の発展につなげていくための予算です。
 今後も、都民福祉向上に役立つ実効性のある施策を計画的に推進するとともに、強固で弾力的な財政基盤を構築していくことを要望しておきます。
 三月五日の中途議決でコロナウイルスの緊急対策に関する補正予算も可決されましたが、刻々と変化する状況を捉え、国や区市町村とも連携して真に効果的な対策を展開することを強く要望しておきます。
 小池知事就任以来、恣意的かつ無計画な財政運営が続いています。来年度予算案では、築地地区まちづくり調査費用一億四百万円が計上されていますが、全体計画も五千四百二十三億円に上る投資経費の回収計画もほぼ白紙の状態です。
 また、当初計画より百五十五億円も高い五百二十五億円で購入した旧こどもの城跡地も都民アンケートに寄せられた多くの都民の声を無視し、さらに最短で六年だけ使って取り壊すこともあり得るという条件つきの改修に総額百三十六億円を投じるとして、来年度予算案に設計経費三億八千百万円が計上されています。
 都区財政調整制度においては、明確な積算根拠もなく配分割合を変更しようとしています。
 突然の有償所管がえや唐突な方針変更で、東京の将来に大きな影響を与える事業や制度変更が、都議会との議論も、そして都民への説明も不十分なまま予算案に計上されています。
 このため、我が党は今後の予算特別委員会において、こうした課題を捉えた令和二年度予算案の取り扱いについてさらに質疑を重ねて、必要な提案をしてまいります。
 本委員会所管事業に関する意見開陳の冒頭に当たり、まずはこのことを申し上げて、各局事業について述べさせていただきます。
 まず、都市整備局について申し上げます。
 一、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会とその先を見据え、東京を世界で一番の都市へと導くため、都市づくりのグランドデザインに示した都市像の実現に向けた取り組みを着実に推進されたい。
 一、外環の一日も早い完成に向け、東名高速から湾岸道路までの計画の早期具体化を強く国に求められたい。
 一、平成二十八年三月策定の東京における都市計画道路の整備方針に基づき、区部の環状道路や多摩地域の軸となる幹線道路など、都市計画道路ネットワークの充実強化を図るとともに、令和元年十一月策定の東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針で計画の変更予定となった路線について、都市計画手続を進められたい。
 一、鉄道ネットワークのさらなる充実を図るため、国の答申六路線を中心に、国と東京都の実務者協議会の場も最大限活用しながら、関係者との協議、調整を加速されたい。
 一、騒音対策、落下物対策、住民への周知徹底等に万全を期すとともに、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセスの整備に向けて積極的に取り組まれたい。また、水の都東京の魅力を高めていくため、舟運の活性化に向けた取り組みを進められたい。
 一、首都圏の高速道路は重要な都市インフラであることから、平成二十八年四月に導入された新たな料金体系の影響などを検証し、一体的で利用しやすい料金体系の実現に向け、積極的に取り組まれたい。
 一、今年度改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に基づき、来年度、各区と連携して整備プログラムを取りまとめ、不燃化の取り組みを効果的に展開されたい。また、延焼遮断帯内側の市街地の改善をさらに進めるため、区における防災生活道路整備事業への支援に取り組まれたい。
 一、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、区市町村とも連携をして、所有者の取り組みをさらに後押しするなどして、耐震診断結果を改修や建てかえ工事に確実につなげられたい。また、震災時における緊急輸送道路の必要な通行機能が確保できるよう、今年度一部改定する耐震改修促進計画に定める新たな目標の達成に向け、耐震化の施策をより効果的に推進されたい。住宅については、整備地域外を含め、所有者などの取り組みを後押しし、耐震化を促進されたい。
 一、首都圏における住民の生命や財産を守るために、極めて重要な施設である八ッ場ダムについて、国や関係各県と協力をして水源地地域の対策に万全を期されたい。
 一、地域の特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業などの市街地整備事業を積極的に推進されたい。
 一、築地地区まちづくりに関しては、これまで培ってきた都市づくりの基本を逸脱することなく、全体計画とそれを支える財政計画を都民に明らかにした上で、東京の将来に禍根を残すことがないよう、東京にとって、都民にとって望ましい形になるよう取り組むこと。
 続いて、住宅政策本部について申し上げます。
 一、区市町村の地域特性に応じた取り組みへの支援や情報提供の充実などにより、空き家の利活用を促進されたい。また、区市町村支援事業も活用し、防災面からの老朽空き家の対策などを進められたい。さらに、空き家所有者には管理の重要性を周知するとともに、地域特性などを踏まえた適切なアドバイスを行えるよう、専門家を活用した相談体制の整備など、きめ細かい支援を行われたい。
 一、居住者の高齢化、単身化が進む都営住宅において、コミュニティの活性化に向けて、子育て世代のさらなる入居促進や高齢者世帯の生活支援の強化などにより、多世代共生の推進に取り組まれたい。
 一、東京都住宅マスタープランに基づき、子育て支援、見守り機器設置費用等の補助による住宅確保、要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居支援、良質な既存住宅の流通拡大、条例に基づく届け出制度等によるマンションの適正管理促進や建てかえなどによる再生など、区市町村等とも連携をして、住宅政策を総合的に推進されたい。
 以上をもちまして意見開陳を終わります。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/urban-development/2020-05.html