平成29年 予算特別委員会

東京都議会 平成29年度予算特別委員会にて質疑を行いました。

東京都議会 平成29年度予算特別委員会において、築地市場・豊洲新市場の問題、日の出、竹芝ふ頭の機能強化、老朽マンションの建て替え、品川駅の利便性向上に向けての京急本線の連続立体交差事業への取りくみなどを小池知事、関係局長に質問を行いました。


平成29年度予算特別委員会

1.市場の安心について

〇菅野

 知事は、築地の安全は市場関係者の長年の努力で安心がレガシーになっているというが、あなたが長である東京都が報告した地歴(「土地利用の履歴」)の結果によると土壌汚染のおそれがあるとされ、また建物の老朽化等の問題も出てきている。築地市場のいわゆる上乗せ基準(「より安心のための基準」)が崩れかけているのではないか?

市場の比較

〇知事

 いかに築地に問題が多いか、(予算委員会の場で)次々と皆さんにお知らせいただいているが、土壌に有害物質がある可能性を私は否定をしていない。しかしながら、そのためには調査が必要であり、その結果を待ちたい。

〇菅野

 (築地は)安心と、知事は判断された。それは法令上の問題がない(「安心のための基準」を満たしている)というのが大きいからではないか。

〇知事

 築地市場の安全性について土対法上の必要な条件ということについては、これはカバーをしている

〇菅野

 まとめると、「法令上(土壌汚染対策法)の問題がない」ということが大前提で、知事が先日、築地はアスファルト、コンクリートで(土壌が)覆われているから安心だと宣言したのも、恐らくそこがしっかりしているからだと思うが、であるならば、同じく法令上問題ない豊洲新市場も安心だということにならないか。
 また、知事はより安心を求めて、(豊洲について)「より安心のための基準」をみたすよう努力をしている、(一方で)築地も、今いろいろな課題が出てきていて、「より安心のための基準」が揺れ動いている。安心ではなくなってきているのではという懸念もあるが?

〇知事

 築地市場に関して、土壌調査など、判断に必要な要素というのがまだ数多く残されている中で、現時点ではどちらということについては、ステップ・バイ・ステップである。

〇菅野

 専門家委員の先生方によると、豊洲は科学的にも、法的にも安全だということが確認されている。
昨日、知事は、豊洲も法令に反せず安全だと認められた一方で、上乗せ基準をクリアしていないので安心ではないとも答弁されている。
 確かに築地は、市場関係者の努力、ソフトパワーで信頼を保ってきている。しかし、東京都自身が、土地利用履歴の調査で土壌汚染のおそれがあるとして、環境基準を超えるヒ素などが出たことを確認したのではないか。
 都民の安心を大事に考えるなら、何ゆえ、築地の土壌汚染の調査もせずに安心だと断定できるのか。豊洲は、法令を超える上乗せ基準をクリアしなければ安心ではないということであれば、知事が、築地にも同じ厳しい基準を当てはめないのはなぜか。
 今後、築地の土壌汚染を調査するとのことだが、築地にも豊洲基準を適用し、都民の安心の有無を判断するのか。豊洲と築地は違うというようなダブルスタンダードはやめていただきたい。

〇知事

 築地については、土対法上の基準は満たしている。
 豊洲市場についても、土対法の法令上問題はないが、安心を確保しようという意味だと思うが、盛り土などの法令を上回る対策を講じるということが約束をされたわけで、これがまだ守られていないということから専門家会議を再開し、検証中というのが今の我々の現在地である。

〇菅野

 逆の立場で質問すると、築地は法令を上回る豊洲基準をクリアしなくても安心だというならば、なぜ豊洲も安心だといえないのか。論理的に破綻していないか。豊洲は不安だといい続けているのは極めて不自然。どうしてそこまで豊洲移転をしないということにこだわるのか、こんなダブルスタンダードをしているようでは都民の理解は到底得られないのではないか。

 

2.日の出・竹芝ふ頭の機能強化について

〇菅野

 港区の日の出ふ頭は、レストラン船や水上バスなど多くの船舶の発着地となっており、舟運施設が集積するとともに、鉄道網からのアクセスが良好であるなど、舟運拠点として高いポテンシャルを有している。
 現在不足している小型船の発着機能の強化や、人々が集い、にぎわう環境づくりに取り組むべきと考えるがいかがか。

〇港湾局長

 都は、来年度、新たな桟橋の整備に着手し、水上タクシーなど小型船の発着機能を強化する。また、現在閉鎖中の人道橋の耐震補強を行い、隣接する竹芝ふ頭とのアクセスを改善、さらに、ふ頭の建物をライトアップする社会実験などにより、港らしさを感じることのできる景観の形成に努める。

 

3.MICE※の誘致について

〇菅野

 多くの観光消費を生み出すとともに、都市としてのPR効果も高いMICE誘致をめぐる競争は年々激化しているが、都のMICE誘致施策の充実強化について伺う。

〇産業労働局長

 都は来年度、会場となる会議場やホテルのホール、大学の講堂などを対象として、WiFiや同時通訳システム、大型のスクリーン等の導入に必要な経費の二分の一について、一施設当たり三千万円を上限に助成。また、外国からの参加者のため、会議場やホールの中の案内表示の多言語化にも補助を行う。

※MICE …Meeting(会議・セミナー・研修)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference(学会・国際会議・大会)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語である。
 一般の観光旅行に比べて消費が多いと言われており、経済波及効果がある。

 

4.中小企業のサイバーセキュリティ対策について

〇菅野

 近年、サイバー攻撃の対象は中小企業にまで広がり、技術ノウハウや顧客情報等の流出など甚大な影響が懸念されているが、大多数の中小企業では、サイバーセキュリティー対策が遅れている。
東京二〇二〇大会を控え、サイバー攻撃の脅威が高まる中で、都の取り組みを伺う。

〇産業労働局長

 都は来年度から、サイバー攻撃に対して必ず行うべき対策や、事故が発生した場合の初期対応などをわかりやすく伝えるガイドブックを新たに作成し、約二十万社に配布。また、機密情報の窃取等を目的として特定企業にウイルスメールを送りつける、標的型メール攻撃が増加していることから、標的型メール訓練を中小企業百社に対して実施する。

 

5.老朽マンションの建てかえについて

〇菅野

 老朽マンションの中には、敷地の条件等により単独では建てかえができないものも多い。都市開発諸制度には大規模な開発でなくても適用できる総合設計制度があるが、こうした制度を活用し、隣地との共同化等により建てかえを促進する事が効果的と考えるが見解を伺う。

〇東京都技監

 来年度から総合設計制度の運用基準の見直し、敷地の集約や共同建てかえにより、地域の安全性向上など、まちづくりに貢献する計画については、都心部などで新規の住宅供給を誘導する場合に適用している容積率の上限まで緩和を認め、老朽マンションの建てかえを促進する。

 

6.都営地下鉄におけるホーム上の安全対策について

〇菅野

 二〇二〇年東京大会に向けて、安全対策の一層の充実が求められている中、銀座線青山一丁目駅や京浜東北線蕨駅等で視覚障害者の方のホーム転落事故が発生するなどホームドアの設置は喫緊の課題である。
 今般、浅草線全駅のホームドア整備の早期実現を目指して、車両の大規模な改修、改造を必要としない新たな技術の実証実験を行ったと聞いているが、具体的な内容と今後の展開を伺う。

〇交通局長

 浅草線は、乗り入れ車両が多く、従来の方式では各社の車両の改修に多くの経費と時間が必要となる。交通局では、QRコードを車両のドアの定位置に貼り、これをホーム上のカメラで読み取ることでホームドアとの連動を可能とする新たな技術を民間企業と共同で開発した。
 今後は、浅草線でホームドアを先行して整備する新橋、大門、三田、泉岳寺の四駅でこの技術の実用化を図る。
 なお、この新技術については、同様の課題を持つ鉄道事業者に広く紹介し、ホームドアの整備促進にも貢献していく。

都営浅草線 車両ドアのQRコード

 

7.京急本線の連続立体交差事業について

〇菅野

 国際交流拠点としての品川を築くために、環状四号線を初め、周辺道路交通の円滑化や品川駅の利便性の向上が不可欠だが、京急品川駅付近には、長年の懸案である八ツ山橋踏切や旧東海道の品川第二踏切などが残存している。
 また、品川駅は現状、JR線と京急線の乗りかえ動線が複雑で、移動距離が大変長い。これらの解決に向けた京急本線の連続立体交差事業の取り組み状況を伺う。

〇東京都技監

 八ツ山橋踏切など三カ所のあかずの踏切の除却することにより、交通渋滞を解消、東西に分断された地域をつないで沿線地域の活性化を図る。
 駅部においても、京急品川駅とJR品川駅の改札階を同じ高さとすることで、乗りかえのしやすさなど駅の利便性向上を図る。本年一月に都市計画素案の説明会を開催し、延べ約千名に説明を行った。
 今後とも、鉄道事業者や地元自治体と連携を図りながら本事業の早期実現に向けて積極的に取り組む。

平成29年度予算特別委員会


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