平成30年 文教委員会(10月30日)

平成30年10月30日 文教委員会にて質疑を行いました。

■学校における働き方改革について

1.必要とされている教師の働き方改革の背景と認識について

○菅野委員

 それでは、私の方からは、まず、学校における働き方改革に関連して伺いたいと思います。
 将来の変化を予測することが困難な時代にあって、これからの時代を生き抜く子供たちに対して必要な資質、能力を育成していくことは極めて重要です。
 こうした時代を生き抜く子供たちの育成を担う教員が児童生徒への指導や授業準備などに、より一層集中し、健康で生き生きとやりがいを持って働くことができて、その専門性を十分に発揮していく環境づくりは極めて重要だと思います。
 そこで現在、都教育委員会では、働き方改革を推進しさまざまな取り組みを行っていますが、そもそもなぜ今、働き方改革が必要とされているのか、改めてその背景と認識を伺いたいと思います。

◯古川教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務

 昨年、都教育委員会が実施いたしました都内公立学校教員の勤務実態調査におきましては、小学校で約四割、中学校で七割近い教員が週当たりの在校時間が六十時間を超える、いわゆる過労死ライン相当の状況でございます。
 また、学校経営のかなめであります副校長につきましては、過労死ライン相当の割合が小学校、中学校ともに約八割という状況にございます。
 教員の長時間労働は、教員自身の心身の健康やライフワークバランスの問題にとどまらず、子供たちの教育の質にも直結する喫緊の課題であり、学校における働き方改革を強力に進めていく必要があると認識しております。

2.学校マネジメント強化モデル事業の内容について

○菅野委員

 教員の長時間労働の実態について改めて伺いました。
 今の勤務実態調査によれば、中でも副校長の勤務時間が特に長く、いわゆる過労死ライン相当の割合が小中学校ともに約八割だったということです。
 確かに副校長の仕事というのは、今大変多忙を極めているというような話は、いろいろな現場から聞こえてきます。さまざまな役割を一手に引き受けて、学校の総務から、また授業のあいた、先生が急に休んでしまったときの代替の先生としても働いたりということで、大変、副校長が本来の業務に専念できないような状態が続いていたということも聞いております。
 そうした副校長の過大な業務負担は、学校管理職のなり手不足にも影響が出る課題であり、副校長が本来の業務に集中できるための支援が重要であります。
 こうした多忙な副校長を支援するため、現在都が導入している学校マネジメント強化モデル事業がありますが、その内容を伺いたいと思います。

◯安部人事部長

 学校マネジメント強化モデル事業は、特に業務が集中する副校長を直接補佐するため、非常勤職員を学校に配置する取り組みでございまして、区市町村立の小中学校において平成二十九年度から実施しております。
 本事業では、区市町村が非常勤を雇用して学校へ配置し、都はその人件費を全額補助しており、平成二十九年度は小中学校合わせて十二校、平成三十年度からは予算規模を百二十校に拡大し、その効果を検証しております。

3.非常勤職員の活用状況について

○菅野委員

 昨年度からモデル事業をスタートして、当初十二校でしたが、現在は規模を百二十校に拡大した上で、さらに効果を検証中とのことです。
 そこで、本事業において、副校長を補佐する非常勤職員の活用状況についてはどうなっているのかを伺いたいと思います。

◯安部人事部長

 本事業では、各区市町村が学校の実情に合わせて、元学校管理職や教員、行政経験者などを非常勤職員として配置し、これまで副校長が担ってきた勤怠管理や調査報告、施設管理、来客対応などの業務に従事させております。
 このことにより、副校長が今まで以上にOJTによる若手教員育成や学校運営に関する校長との打ち合わせなどに充てる時間がふえ、やりがいを持って業務に当たることができるようになったという声が聞かれるとともに、副校長の勤務時間の縮減も確認されているところでございます。

■東京都の子どもたちの学力向上について

○菅野委員

 かなり効果も出てきているということで、ぜひ今後も引き続きモデル事業の効果検証を行い、副校長の負担軽減に努めていただきたいと思います。
 しかし一方で、こういったこと、特にマンパワーに頼る部分というのは、今いろんな分野でそうなんですが、人手が不足しているというのが正直なところであろうかと思います。
 特に学校現場の庶務とかそういったことについても、全く知らない人よりは現場をわかっているような人、少しでも事務経験があるとか、学校のことがわかっているとかという人がいれば、やっぱりそれだけ重用されるというか、現場にとってはありがたい存在でございます。
 そういった中で、今回十二校から百二十校にふやしてきた中で、やはりあちらこちらでも、なかなか人の確保というのが結構大変になってきているんじゃないかなという話も聞いておりますので、ぜひその辺も含めて都の方でもしっかり行っていただければと思っています。
 そして、副校長以外の教員のサポートや外部人材の活用などもさらに進めることで、真の働き方改革を実現して、教育の質の維持向上につなげるよう要望しておきます。
 次に、東京都の子供たちの学力向上について伺いたいと思います。
 我が党は、東京の子供たちが日本や世界の未来を担って活躍できるようにするためには、しっかりと学力を身につけることが何よりも大切と主張してきました。
 十月二十五日に公表されました都独自の学力調査の結果からは、おおよそ小学校や中学校で学んでいることがしっかりと身についているというようなことがわかりました。
 また、全国の学力調査の結果からも、国語、算数、また数学において、東京都の子供たちの成績は全国を上回ったと聞いています。
 そこで、こうした調査の結果から、都内公立小中学校に通う子供たちの学力は高い水準を維持していることがわかりましたが、どのような取り組みが功を奏していると考えているか、その検証を伺いたいと思います。

◯宇田指導部長

 都教育委員会は、児童生徒一人一人や各学校が、学力についての課題を把握することができるよう、都独自の学力調査を実施しております。
 また、その調査結果から明らかになった課題の解決に向け、東京ベーシック・ドリルを開発し、その活用を促進するとともに、少人数、習熟度別の指導を推進してまいりました。
 区市町村教育委員会におきましても、地区内の課題を明確にするとともに、課題解決に向けた教育施策を立案し、学力向上を図ってきております。
 さらに、各学校におきましても、授業時数を確保しつつ、日常的に指導方法の工夫、改善を行っております。
 こうした取り組みにより、東京都の児童生徒の基礎的、基本的な学力は、良好な状況を保っております。

■TOKYO GLOBAL GATEWAY(以下TGG)について

1.TGGの役割について

○菅野委員

 教育委員会や学校が、それぞれの地域や学校の特性、また生徒の資質等に合わせて、さまざまなテキストなども含めて努力を繰り返し行った、その結果でこうした効果が出たんだなということがよくわかりました。
 引き続き、学校や教員を支援することによって、近い将来、東京の学力が世界一とまた宣言できるような、そういったことを目指してほしいとお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、先ほどもちょっとほかの委員から質問がありましたが、九月に開設した英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGについて伺いたいと思います。
 都は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催とその先を見据えて、グローバル人材の育成を推進されています。
 しかし一方で、日本のTOEFLのスコアランキングなどがアジア圏の中でもいまだに低いというふうにいわれています。日本人のグローバルなコミュニケーション能力を高めるためには、まだまださまざまな課題があると思います。
 そこで、都教育委員会が進めるグローバル人材育成施策におけるこの英語村、TGG、改めてその役割について、どういったものか、伺いたいと思います。

◯藤井指導推進担当部長

 児童生徒が英語を使用して、積極的にコミュニケーションをしようとする態度や生きた英語を身につけるためには、教室での授業に加え、児童生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感し、学習意欲を高めることが必要でございます。
 TOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGでは、児童生徒が英語漬けの環境の中で、東京にいながら海外での生活や実社会を体感でき、児童生徒八人という少人数のグループそれぞれにネーティブスピーカーが一人ずつ付き添い、発話を促します。
 児童生徒が学校の授業で学んだことをTGGで実践することで、自分の英語が通じたという成功体験を得て、学習意欲を向上させ、TGGを利用した後、授業でより積極的に学習を行っていくことを期待しております。

2.海外の第一線で活躍できるトップ層を育成する取り組みの有無について

○菅野委員

 ご答弁にありましたように、特に小学生、また初めて英語を学ぶような者にとっては、せっかく学習をしても、それを実際生かせる場所、機会が少ないというのが今までの実態であろうかと思います。
 そういった中で、英語が楽しいと思うきっかけをつくることは重要であります。そういった意味で、TGGの取り組みは大変評価できるものだと思います。
 そして、さらには、英語を使うことが楽しくなったら、今度は将来、国際社会でも活躍したいなと思うようなきっかけになるかもしれません。将来、海外の第一線で活躍できるトップ層の育成も必要であるかと思います。
 そこで、TGGでは将来、海外の第一線で活躍できるトップ層を育成するような取り組みはあるのか、伺いたいと思います。

◯藤井指導推進担当部長

 TGGでは、高い知的好奇心や語学力を有する生徒にとって、さらに資質、能力を高めるプログラムを用意しております。
 例えば、疑似留学のプログラムでは、オーストラリアのクイーンズランド州から実際に派遣された教員による授業を受けることができ、東京にいながら海外の授業の形式や内容に触れ、積極的に自分の意見を述べたり、他者と協働する力を養うことができます。
 また、ビジネスで実際に利用されている金融情報端末を用いたプログラムでは、実際の金融データを用いながら、社会や経済のダイナミズムを感じ、論理的な思考力や分析力、プレゼンテーション力を培うことができる内容となっております。

■都立国際高等学校国際バカロレアコースについて

1.国際バカロレアコース第一期生の成果について

○菅野委員

 先ほども、既に学校などからも延べで五万人ぐらい予約も入っているというふうに伺っています。
 まだTGGもスタートしたばかりでございますので、今後、こうした取り組みによって、より多くのグローバル人材、本当に国際社会で活躍できるような人材が、この東京から育っていくことを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、都立国際高等学校での国際バカロレアについて伺いたいと思います。
 都立国際高校では、国際バカロレアの探求型の学習法による授業の充実を図り、国際バカロレア資格の取得による海外大学進学を進めるため、平成二十八年度から国際バカロレアコースを設けて、第二学年から国際バカロレアのディプロマプログラムを開始しています。
 その国際バカロレアコースは、ことし第一期生が卒業しましたが、まず、その結果について、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

◯増田教育改革進担当部長

 国際バカロレアフルディプロマ取得率が八九・五%であり、世界平均より一九・七ポイント高かったことや、多くの海外大学に合格できたという点は、第一期生の成果として評価しております。
 国際バカロレア試験のスコア及びフルディプロマ資格の取得率をさらに向上させ、より多くの生徒が自分の目標をかなえることができるよう、引き続き取り組んでまいります。

2.国際バカロレア資格の取得率・スコアをさらに上げていくための取り組みについて

○菅野委員

 お話がありましたように、最初ということで、一期生ということで、評価できる内容、結果であったということでありますけれども、これでもちろん十分というわけではないと思いますので、今後ともお願いしたいと思います。
 そして、今後、国際バカロレア資格の取得率やスコアをさらに上げていくためにどのような取り組みを行っていくのか、それも伺いたいと思います。

◯増田教育改革進担当部長

 都立国際高等学校におきましては、第一期生の結果及び指導内容を検証した上で指導資料を作成し、より効果的、効率的な指導のあり方について研修会を開催するなど、学校としての一体的な取り組みのさらなる充実を図っております。
 また、都教育委員会は、海外でのワークショップ等への積極的な教員派遣やオンラインでのワークショップの受講等、教員の資質向上を図る取り組みを支援しております。

■中学校の特別支援教室について

1. 中学校の特別支援教室を導入するに至った経緯について

○菅野委員

 フルディプロマ資格取得率が世界平均より高かったとはいっても、先行して取り組んでいる国とか学校と比べれば、データをとる上の分母が特に都立国際高校の場合、まだそんなに多くありませんから、小さいということもあり、また平均スコアもまだまだそれらと比べて低いというふうにいわれています。
 ぜひ今後とも、さらに上を目指してというか、先行する学校や国に負けないように、都立ならではのしっかりとしたプログラムで、教員の確保など難しい面もあるかと思いますけれども、取り組んでいただければと思っています。
 そして、現在新たな国際高校の設置に向けての検討も進んでいる中で、世界で通用する人材を生み出すために、ぜひ国際バカロレアコースのさらなる充実を要望して、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、中学校の特別支援教室について伺いたいと思います。
 東京都教育委員会は、平成二十八年二月に東京都発達障害教育推進計画、そして平成二十九年二月には東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画を策定し、全ての公立小中学校における発達障害に関する施策の展開を明らかにしています。
 この間、国においては、平成二十八年五月に発達障害者支援法が改正され、同年八月から施行されています。
 この改正では、切れ目なく発達障害者の支援を行うことが特に重要であり、教育に関しては第八条において、国及び地方公共団体は、発達障害児が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため、可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童とともに教育を受けられるように配慮することや、個別の教育支援計画の作成及び個別の指導に関する計画の作成の推進、いじめの防止等のための対策の推進とその他の支援体制の整備を行うこと、その他必要な措置を講じるものとすることなどが新たに規定されています。
 この改正法の中でうたわれている、可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童とともに教育を受けられるように配慮することや、切れ目のない支援ということが、発達障害のある児童生徒へのそれぞれの発達段階における特別な指導として重要かと思います。
 都内の公立小学校で特別支援教室を導入し、さらに中学校においても導入していくということを聞いています。
 これは、従来の情緒障害等通級指導学級から制度変更されて、都内の全ての公立学校で展開していくということですが、そこで、今回制度改正し、中学校の特別支援教室を導入するに至った経緯を伺いたいと思います。

◯小原特別支援教育推進担当部長

 都の発達障害教育は、これまで情緒障害等通級指導学級における指導を中心に行われてまいりました。情緒障害等通級指導学級は、一部の学校に設置されておりますことから、学級が設置されていない中学校の生徒は、他校に通わなければなりませんでした。
 そのため、通級指導学級で指導を受けている生徒にとりましては、在籍学級の授業を抜けることによる不安や移動のための負担など、さまざまな課題がございました。
 都教育委員会は、このような課題に対応するとともに、指導内容、方法の充実を図るため、平成二十八年二月に策定した東京都発達障害教育推進計画におきまして、全ての公立小中学校に特別支援教室による巡回指導を順次導入することとしたものでございます。

2.中学校の特別支援教室の導入状況について

○菅野委員

 私の地元港区では、全ての公立小中学校で特別支援教室を導入したと聞いています。
 先ほどの答弁では順次導入していくということでしたが、小学校で通級による指導を受けていた児童が、必要があれば中学校においても切れ目なく特別な指導、支援を受けられることが重要だと思います。
 そこで、中学校の特別支援教室の導入がどの程度進んでいるのか、その導入状況について伺いたいと思います。

◯小原特別支援教育推進担当部長

 中学校につきましては、平成三十年度から、準備の整った区市町村におきまして順次導入を開始しているところでございます。今年度は、準備の整いました十三自治体、九十八校におきまして導入されております。
 都教育委員会は、平成三十年度までに全校導入が完了した小学校に引き続きまして、平成三十三年度までに全公立中学校で特別支援教室が導入されるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。

3.特別支援教室の導入に関しての支援について

○菅野委員

 中学校への支援は今後、平成三十三年度までに準備が整った市区町村から順次導入していくということですが、特別支援教室の設置に当たっては、区市町村の負担も大きいと考えられます。
 また、学校現場においても、発達障害の生徒一人一人の障害の特性を的確に把握し、適切な指導、支援につなげていくということは、学校で働く教職員の業務負担も大きく、また専門的な見地がなければ、その判断は困難なことではないでしょうか。
 発達障害のある生徒へ必要な指導、支援が行われる環境が整うことはすばらしいことですが、一方で、それを直接行う教職員に対しての支援というのも必要不可欠です。
 そこで、中学校の特別支援教室の導入を進めるに当たり、都として現状行っている、または今後行っていく支援について伺いたいと思います。

◯小原特別支援教育推進担当部長

 都教育委員会は、平成三十年二月に、中学校における特別支援教室の導入ガイドラインを策定し、特別支援教室の導入に当たっての考え方や留意点、手続などを示しました。
 また、特別支援教室の円滑な導入に向けまして、特別支援教室を設置する中学校が行う教材等の物品購入に要する経費及び教室環境の整備に要する簡易工事相当の経費について、区市町村教育委員会に対し補助を行っております。
 さらに、必要となる巡回指導教員の配置、在籍校の教職員や巡回指導教員に指導内容、方法について助言いたします臨床発達心理士等の巡回、特別支援教室の円滑な運営を図るための特別支援教室専門員の配置などによりまして、効果的、効率的な特別支援教室の実施体制を整備してまいります。
 これらの取り組みによりまして、義務教育段階において切れ目なく継続性のある適切な指導、支援を行ってまいります。

4.都教育委員会の見解について

○菅野委員

 中学校において特別支援教室の導入が促進されて、小学校から中学校へ切れ目なく継続性のある適切な指導、支援が行われていくということですが、中学校へ特別支援教室を導入するに当たっては、教科の学習や複雑化する人間関係、将来の進路への不安など、中学校特有の課題についても考慮する必要があります。特に高校受験を控えた中学生ならではの難しさもあるのではないでしょうか。勉強のおくれに対する不安や高校受験だけではなく、思春期を迎えて難しいこともあるでしょう。
 そこで、小学校の取り組みを踏まえるのはもちろんですが、中学校における特別支援教室の導入について、都教育委員会として重点を置いている内容はどのようなことがありますか、伺いたいと思います。また、同時に期待される効果がありましたら、それも伺いたいと思います。

◯小原特別支援教育推進担当部長

 小学校では、在籍校で適切な支援を受けることができるようになったことなどから、指導対象児童は大幅に増加している一方で、指導の成果を十分に把握せず、特別支援教室での指導を継続している例も見られております。
 このため、中学校における特別支援教室の導入ガイドラインでは、対象生徒が可能な限り多くの時間を在籍学級で学習できるようにすることが特別支援教室の目的であることを明確にし、指導を開始することだけではなく、定期的な評価を実施し、保護者の意向も踏まえながら、指導終了に結びつけることにも重きを置いております。
 また、中学校は教科担任制であり、多くの教職員が生徒にかかわることから、全ての教職員が連携して、適切な指導、支援を行うことに留意するよう求めております。
 このことにより、生徒の障害の状態に応じた特別な指導を実施できるようになり、生徒の学習能力の向上や在籍学級における集団適応能力の伸長が期待できるものでございます。

■島しょにおける特別支援が必要な生徒に対する支援について

1.島しょ地区における特別支援を必要とする生徒に対する都教育委員会の見解

○菅野委員

 都教育委員会が進めている特別支援教室の導入は、公立小学校全校で導入され、さらに今後、全ての公立中学校においても導入されていくという、まさに切れ目のない継続性のある支援を東京都が行っているといえます。
 さらに、中学校段階においては、新しい人間関係や高校受験への不安など、それまでの小学校時代とは異なる環境の中で、生徒自身が悩み、またいじめや不登校につながってしまう例もあることも考えられます。
 そのような発達障害に起因する困難さを改善し、生徒が在籍する学級で豊かな学校生活を送ることができるよう、特別支援教室での特別な指導、支援のさらなる充実を期待して、次の質問に移ります。
 最後に、島しょにおける特別な支援が必要な生徒への支援についてお伺いしたいと思います。
 近年、特別な支援を必要とする児童生徒は年々増加しており、島しょ地区においてもこうした児童生徒が在籍をしています。
 島しょ地区では、中学校卒業以降特別な支援を必要とする生徒に対し、島内での就学の手だてがありません。
 島しょに在住する特別な支援を必要とする生徒が、将来の自立と社会参加に向け、個々の能力を最大限に伸ばすことができるように、教育の場を提供し、支援することは重要と考えますが、都教育委員会の見解について伺いたいと思います。

◯小原特別支援教育推進担当部長

 都教育委員会は、特別支援教育推進計画に基づきまして、都立特別支援学校の配置の適正化を進めております。
 島しょ地区には特別支援学校を設置しておりませんことから、島しょ地区に在住する生徒の場合は、都立特別支援学校寄宿舎への入舎を認め、中学校卒業後の教育の場を確保いたしております。
 寄宿舎に入舎している島しょの生徒につきましては、その負担軽減を図りますため、生徒が帰省する際には、就学奨励費におきまして、生徒本人については年間三十九往復分、付添人につきましては年間七十八往復分を限度に帰省のための交通費を支給いたしております。

2.保護者の負担の軽減について

○菅野委員

 帰省に要する交通費は支給されているとの答弁でしたが、年間七十八往復といえば、保護者の方は実質七十八日間、帰省の送迎をしていることになります。
 八王子盲学校の寄宿舎に入っている生徒の保護者からは、二週間に一度程度帰省するという話も伺っています。
 保護者の方も、島で仕事や家庭など、生活もありますので、島と学校を行き来することは、肉体的、また精神的にも負担につながるものと思います。
 そこで、島しょ地区に在住する特別な支援を必要とする子供たちが都立特別支援学校で将来の自立に向けて学ぶ場合に、保護者の負担をより一層軽減する必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

◯小原特別支援教育推進担当部長

 島しょ地区に在住する生徒が島外の特別支援学校において安心して学習ができるよう、周辺環境を整えることは大切でございます。
 そのため、島しょの特別な支援を必要とする生徒の保護者のより一層の負担軽減について検討を進めてまいります。

○菅野委員

 島しょ地区にお住まいの特別な支援を必要とする子供たち、またその保護者への負担軽減の充実をぜひ図っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/educational/2018-14.html