平成三十年十月二十六日(金曜日)

平成30年10月26日、東京都議会 平成29年度決算特別委員会にて、平成二十九年度における中小企業支援の取り組み状況、観光振興への取り組み状況について質疑を行いました。

■中小企業支援の平成二十九年度の取り組み状況について

1.中小企業の経営基盤の強化について

○菅野委員

 それでは、私からも、決算の質問をさせていただきたいと思います。
 昨年度の我が国の景気は、緩やかな回復が続いておりますが、高度成長期のいざなぎ景気を抜き、戦後二番目の長さとなりました。しかし、都内中小企業の経営者からは、その実感はないとの声を多くいただいているのも事実です。見通せない先行きに加え、足元では、伸び悩む個人消費、激しい価格競争、そして深刻な人手不足と、経営環境は依然として厳しかった一年といえます。
 一方で、二十九年の訪都観光客は約一千四百万人とさらに増加しました。インバウンド需要の拡大に向けた好材料ではありますが、同時に、これをビジネスにどうつなげていくのか、東京二〇二〇大会が迫る中でより問われることになったと考えます。
 東京を活力に満ちあふれた都市とするためには、その基盤として経済の活性化が不可欠です。そこで本日は、ただいま申し上げた中小企業支援や観光振興といったテーマを取り上げて、都の平成二十九年度の取り組み状況について質疑をしていきたいと思います。
 初めに、中小企業の経営基盤の強化についてであります。
 中小企業が厳しい環境を乗り越え、稼ぐ力をつけていくためには、直面するさまざまな経営課題の解決が不可欠です。しかし、自分自身の短所、欠点に自分では気づかない、これを直せないということが往々にしてあるように、企業においても、独力で自社の課題を見きわめ、解決することは簡単ではありません。
 都は、中小企業活力向上プロジェクトにおいて、外部の目線で企業の経営課題を浮き彫りにした上で、その解決までを支援していますが、経営者に気づきの機会を提供することは、非常に重要な意味合いがあると考えます。
 昨年、我が党からの施策の充実も要望していますが、まず本事業の取り組み状況について伺います。

○坂本商工部長

 都は、中小企業の経営力の向上を後押しするため、中小企業活力向上プロジェクトによりまして、専門家を活用した経営診断や助言を行うことで、企業が直面する課題の解決を支援しております。
 本事業では、中小企業が商工会議所等を通じて利用の申し込みを行う仕組みとしてございまして、平成二十九年度は、目標の一千三百社を上回る一千三百八十五社に対して、中小企業診断士を派遣し、経営診断を行ったところでございます。
 その後に、専門家とともに経営課題の解決を図るため、販路開拓など短期間での速やかな対応を進めた事例は二百六十件となっております。また、将来の成長に向けて、中長期の計画をつくり、設備投資等の取り組みを行った事例は二百四十二社となりまして、いずれも前年度を上回る件数のサポート実績となりました。
 これらの支援によりまして、工場の製造工程ごとの時間を把握して生産の効率を高める管理方式を導入した事例や、社員が職場単位で利益目標をつくり、コストを下げる仕組みをつくり上げる取り組みなどが実現をしたところでございます。
 これらを含めた成果については、パンフレットや動画などにより幅広く紹介して、中小企業の経営改善に役立てる普及啓発も進めたところでございます。

2.新・目指せ中小企業経営力強化事業の実績について

○菅野委員

 中小企業が直面する経営課題というのは、実にさまざまですけれども、中でも多いのは、技術やサービスのレベルには自信があるが、取引先の開拓ができない、そのやり方がわからないというものだと思います。
 販路の確保は、いわば中小企業のビジネス活動のラストワンマイルであり、ここの成否が売り上げに直結してくるわけですから、中小企業の経営の安定に向けた最重要課題の一つといっても過言ではありません。
 都は、中小企業の販路拡大を後押しするため、新・目指せ中小企業経営力強化事業を実施していますが、次にその実績についてお伺いいたします。

○坂本商工部長

 都では、先ほど申し上げた中小企業活力向上プロジェクトによる経営診断を受けて、売り上げの回復を図るために販路の開拓が必要と判断された中小企業に対しまして、国内外の見本市に出展する経費を対象に、上限を百五十万円とし、三分の二の補助率で助成を行っております。
 平成二十九年度には五百四社を採択し、新しい取引先を見つけ、受注や売り上げを伸ばす取り組みを後押しいたしました。
 これによりまして、健康を維持するための器具を初めて開発した中小企業が見本市で取引先の開拓を実現したほか、食品を専門とする展示会に出展した会社が大企業等と商談を開始するなどの事例が出ているところでございます。
 また、中小企業が販路の拡大に向け、取引先の意見等に応じ製品に改良を行う際や、輸出に伴い外国の規格に合わせるため、商品に加工を行う場合などに必要となる経費を対象として、五百万円を上限に二分の一の補助率で助成を行う制度におきまして、三十五社を採択いたしました。
 これによりまして、例えば福祉施設で寝たきりの入居者の散髪を容易とするバリカンの改良や、スマートフォンを用いてカーテンを自動で開閉するシステムを海外で利用できるよう、認証の取得に取り組む事例などが出ているところでございます。

3.設備投資に向けた公的支援の実施状況について

○菅野委員

 この二つの事業ですが、これは今お話がありましたように、かなり大きな結果を生んでいるというふうに感じています。
 しかしながら、この両事業については、いずれも今年度で事業終了ということを聞いていますので、厳しい状況に置かれた中小企業の支えとなる取り組みでありますから、ぜひとも継続、そして発展させていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 また、中小企業が直面する経営課題や支援のニーズは、時とともにどんどん変化していくと思います。現場の実情を捉えた施策のブラッシュアップもあわせてお願いしたいと思います。
 次に、設備の導入に向けた後押しについてお聞きします。
 積極的な事業展開を図るために、設備投資を決断し、実行していくことは、企業経営者にとっては重い課題です。しかしながら、大型の案件となれば資金負担も高額で、財政基盤の脆弱な中小零細企業にとって、先端設備などの導入に踏み切りがたいというのが実態ではないでしょうか。
 そこで、意欲的な中小企業の成長のチャンスを摘み取ることのないよう、効果的な設備投資に向けた公的支援の役割が重要となります。都が実施している設備投資の助成金は応募も多く、人気の事業だとのことですが、実施状況について伺いたいと思います。

○坂本商工部長

 都では、中小企業が競争力の強化や成長分野への参入を図る設備導入を行う場合の費用負担を減らすことのできるよう、中小企業振興公社に基金を設け、助成を実施しているところでございます。
 平成二十九年度には、競争力を強化する取り組みに関し、一億円を上限に二分の一の補助率で助成を行う制度によりまして、二百九十三件の申請のうち七十七件の採択を行いました。
 また、特に規模の小さい企業には、三分の二の補助率で三千万円まで助成する仕組みを適用し、百九十一件の申請のうち四十六件を採択いたしました。
 これによりまして、小規模企業で最新の切断加工機を導入いたしまして、これまで外注により高コストとなっていた工程を社内に取り込み、受注から完成まで一貫して対応できる体制を整え、原価の引き下げを実現した事例が出てきております。
 成長産業への参入を目指す取り組みにつきましては、一億円を上限に三分の二の補助率で助成をする制度によりまして、百三十四件の申請のうち四十二件を採択いたしました。
 これによりまして、今後の成長の見込まれる航空機部品の製造に関して、精度の高い切削のできる加工機などを導入し、受注に向けた工程を整備する事例が出ているところでございます。

4.制度融資の平成二十九年度の実績と利用動向について

○菅野委員

 ぜひとも、前向きで意欲ある中小企業の設備投資を強力にバックアップできるように、支援の充実を要望しておきます。
 こうした中小企業のさまざまな活動を後押しするためには、血液ともいえる資金繰りを支援していくことも極めて重要です。
 都の金融支援策の中でも、最も多くの中小企業に利用されているのが中小企業制度融資であります。実に都内中小企業の約四割、十八万社以上が利用しているとお聞きしていますが、多くの企業が利用するだけに、その資金ニーズも、前向きな投資に必要な資金、あるいは当座の決済を乗り切るための資金など多岐にわたると思います。
 こうした多様なニーズに対して都の制度融資はどのように応えたのか、平成二十九年度の実績と利用動向について伺いたいと思います。

○加藤金融部長

 平成二十九年度の中小企業制度融資全体の融資実績は、約八万四千件、約一兆一千百二十三億円であり、前年度とおおむね同水準でございました。
 利用動向といたしましては、新たな事業展開に活用できる資金としまして、創業融資メニューが約百二十三億円で前年度比約三二%の増加、海外展開支援融資メニューが約七億円で前年度比約二二九%の増加となったほか、昨年度新設しましたビジネスチャンス・ナビ二〇二〇連携特例融資メニューが約百七億円となっております。
 また、経営基盤強化のための資金といたしまして、小口融資メニューが約四百四十五億円で前年度比約二三%の増加となったほか、融資の一本化などにより負担軽減を図る特別借換融資メニューが約二千八百七十億円と、融資額全体の約三割となっております。
 このように、制度融資におきましては、積極的な事業展開や経営基盤の強化に要する資金など、さまざまなニーズに対応し、都内中小企業の円滑な資金調達を支援しております。

5. 近年の融資実績の動向と事業周知の具体的な取り組み状況について

○菅野委員

 そういった融資に関して、中小企業のライフサイクルの中でも最も切実な資金ニーズがあるのは、さっきもありましたが、創業初期段階であると思います。特に近年は、若者に加えて、例えば趣味を生かしてビジネスを始める女性や、退職後の社会貢献として起業を目指すシニアの方々など、多様な層による創業が注目されています。
 こうした方々へのきめ細かい資金提供の重要性を我が党が訴えた結果、平成二十六年度に創設されたのが女性・若者・シニア創業サポート事業であります。
 私は、都が目標とする開業率一〇%の達成のためにも、女性や若者、シニア層による多様な創業をもっと盛り上げていくべきでありますし、こうした中から創業を志す方々がこれからますます出てくると考えております。
 本事業の昨年度の融資実績は、前期よりも増加しているとのことであり、創業希望者の方々に広く知ってもらうために、新しい取り組みも実施されたと聞いています。

 そこで、近年の融資実績の動向と事業周知の具体的な取り組み状況について伺います。

○加藤金融部長

 女性・若者・シニア創業サポート事業の昨年度における融資実績でございますが、六百二十九件、約三十六億九千万円であり、二十七年度二百九件、約十二億九千万円、二十八年度五百五十四件、約三十五億円から、着実に増加しております。
 事業の一層の周知に関する新たな取り組みとしまして、昨年度は、本事業を利用した創業者、創業希望者、金融機関及びアドバイザーが参加する交流会を四回開催しまして、延べ四百一名の参加を得ております。この交流会では、創業者が事業内容やみずからの経験などを発表するとともに、アドバイザーや金融機関が実例に即した支援内容を紹介いたしました。
 また、本事業を活用した先輩創業者四名を招いたシンポジウムを開催し、企業の従業員向けメンタルヘルス対策のコンサルタント業を始めた女性などが、創業までの経緯や苦労した点、そして、その際にアドバイザーから受けた支援などについて語るとともに、パネルディスカッションを行っております。
 こうした実例を紹介するなどの交流会やシンポジウムにより、事業の周知を図り、さらなる創業の後押しに取り組んでおります。

6.都が立ち上げ出資したベンチャーファンドの特徴及び昨年度の投資実績について

○菅野委員

 事業の周知というのは本当に大事なことだと思います。ぜひとも、この事業のさらなる発展のために力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 起業初期段階のベンチャー企業を金融面から支援するもう一つの手法として、近年広がりを見せているのがファンドなどからの出資であります。
 都は昨年度、IoTやAIなど先端技術を活用したイノベーションの創出に向け、新たなベンチャーファンドの立ち上げに取り組まれ、十億円を出資したと伺っています。
 リスクが高く、民間からの資金調達が難しいベンチャー企業の成長をしっかりと後押ししていってほしいと考えますが、本ファンドの特徴及び昨年度の投資実績について伺います。

○加藤金融部長

 都が昨年度出資しましたファンドは、創業初期の投資育成に特化し、コンセプトの段階から起業家と一体となって事業を立ち上げていく独自の支援スタイルを特徴としております。
 具体的には、ファンドが事業の立ち上げから経営に参画して、事業モデルを構築し、そのネットワークを生かした事業提携や、人材、資金の確保など、さまざまな角度からベンチャー企業を手厚く支援しております。
 このファンドでは、昨年度、六件の投資を行っておりまして、主な事例といたしましては、国際宇宙ステーションにおけるJAXA、宇宙航空研究開発機構の衛星放出事業の民間開放第一弾に選定された宇宙関連業務に取り組む事業者や、労働者が働いた分の給与の一部を前払いで受け取れるサービスを提供する事業者などがございます。

7. 中小企業新サービス創出支援事業の状況について

○菅野委員

 都が中小企業向けのファンド事業を行っているということが、実は余り知られていないと思います。私は、こうしたファンド手法の有効性はもっと評価されるべきだと思います。
 ファンドは、非常に専門性の高い分野でもありますが、聞くところによりますと、民間企業でそういった豊富な経験を積んだ方たちが中途で都に採用されて、ファンド事業者の選定の段階からモニタリングまで、外部の専門家の力も活用しながらしっかりと取り組んでいると伺っています。
 中小企業の資金繰りの円滑化に向けた支援は、本当に非常に重要であります。今後とも中小企業の抱えるさまざまな課題解決に向け、このファンド事業を着実に進めていってもらいたいと思います。
 次に、中小企業対策に関する質疑の最後になりますが、サービス産業に対する支援について伺いたいと思います。
 私の地元港区でも、事業者の七割がITや飲食関係あるいは企業向けの業務サポートなど、いわゆるサービス業種であります。東京全体でもGDPの八割以上を占めるとのことで、今後、高齢化の進展や訪日観光客の増加などが新たなサービス事業をもたらすともいわれ、また、AIなどを活用したサービスの登場など市場の拡大が期待できます。
 一方で、新しいサービスの開発には、アイデアを生み出し、技術を活用し、形にしていくことが必要であり、経営基盤や人材に乏しい中小企業は、大手企業に比べ分が悪いことは否めません。
 都は、新しいサービスの創出などを目指す都内中小企業をバックアップする中小企業新サービス創出事業を実施していますが、支援の状況について伺います。

○坂本商工部長

 都では、東京の産業の中で大きな割合を占めるサービス業種の力を高め、それが製造業におきましても、サービス提供の発想を取り入れることができるよう、中小企業新サービス創出支援事業によりまして、サポートを実施しているところでございます。
 同事業によりまして、平成二十九年度は、東京都新サービス創出スクールとの名称で約五カ月ずつ、二回の講義を開催して、合計四十社を対象といたしまして、新しいサービスのビジネスモデルをつくり上げるために役立つ知識やノウハウに加え、自社の強みを生かすための方法を学ぶ機会を提供いたしました。
 また、新しい中小企業のビジネスプランのレベルアップや、その実現を図るためのサポートを実施したところでございます。
 具体的には、専門家が販路開拓に向けた営業ノウハウを提供するハンズオン支援に加え、サービス提供に必要となるICTのシステム開発や展示会への出展等の経費に、二千万円を上限に二分の一の補助率で助成を行ったところでございます。
 この事業によりまして、百二十六社が応募してございまして、そのうちの十八社に支援を行い、専門家がアスリートの栄養管理をICT技術を活用して遠隔で行うサービスを実際に事業化するといった、このような成果を上げているところでもございます。

■観光振興の平成二十九年度の取り組み状況について

1.観光関連事業者の経営力向上のため昨年度はどのような支援を行ったのか

○菅野委員

 さまざまな成果が出ているということを伺いましたが、そのサービス産業の中でも、今後大きな発展が見込まれるのが観光分野であり、ここからはその観光振興について伺っていきたいと思います。
 訪都外国人旅行者が年々増加する中、東京二〇二〇大会を見据え、宿泊業や飲食業など多くの観光関連事業者が、インバウンド需要をビジネスチャンスと捉えて、サービスの質の向上などに取り組んでいます。
 また、これまで観光産業に直接関係がなかった異業種の方々も、成長分野であるインバウンドビジネスを新たな事業の柱にしようと、観光分野に関する新サービスや商品などを開発する動きも活発になっています。こうした事業者の取り組みを支援することは、観光産業の裾野拡大のために重要です。
 インバウンド需要を取り込みつつ、事業の生産性を高めていくなど、観光関連事業者の経営力を高めるためには、都は昨年度どのような支援を行ったのか伺いたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長

 都は、平成二十九年度より、観光関連事業者が行うICT機器等の導入による生産性向上や、観光分野での新サービスの開発等の経営力を高める取り組みに対し、経費の二分の一について、一千五百万円を上限に助成する取り組みを開始いたしました。
 具体的には、宿泊施設での自動チェックイン機や電子宿泊台帳の導入等による生産性向上を図る取り組みのほか、宿泊施設以外でも、例えば食品の卸売業者が行う日本の食材を使った海外の料理を紹介する料理教室や、金属加工業者の自社製品をPRするミュージアムの開設と工場見学ツアーの企画といった、インバウンドビジネスへの新たな参入や事業拡大に向けた取り組みなど、八件の支援を決定いたしました。
 さらに、本事業では、事業経費の支援に加え、中小企業診断士などの専門家を無料で派遣し、事業者が作成した計画の実現に向けた助言も行っております。
 こうした事業者の積極的な取り組みを後押しし、観光産業の裾野を拡大してまいります。

2. 東京の旅館の活性化のため、昨年度どのような支援を行ったのか

○菅野委員

 観光産業がより一層活性化していくためには、多様な外国人旅行者のニーズに対応することが重要です。
 旅行者の消費行動も、これまでの物消費から事消費へと移りつつあります。今後、観光消費の一層の拡大につなげていくためにも、日本の伝統文化の体験など体験型サービスの創出に取り組む事業者への支援の充実を求めておきます。
 訪日外国人旅行者数の増加を追い風に、都内では、新たなホテルの開業の報道を目にする機会がふえてきました。こうした中でも、東京の宿泊施設全体の客室稼働率は、ここ数年、約八割と高いレベルで推移しています。
 一方で、旅館の客室稼働率は、宿泊客の獲得競争もあり約六割にとどまっているなど、中小旅館は、日本の文化や生活様式を体験できる宿泊施設として、外国人を引きつける魅力を持ちながらも、海外からの旅行者を思うように取り込めていない状況にあります。
 都はこうした観点から、宿泊施設の受け入れ環境整備や外国人旅行者の誘致に向けた取り組みなど、東京の旅館の活性化のため、昨年度どのような支援を行ったのか伺います。

○鈴木観光振興担当部長

 都はこれまで、外国人旅行者の受け入れに向け、館内の案内表示の多言語化やトイレの洋式化等を行う宿泊施設を支援しており、平成二十九年度は三十六件の支援を決定いたしました。
 また、こうした取り組みに加えて、特に旅館における外国人宿泊客の増加のため、旅館が周辺の飲食店や商店等と協力して旅行者を誘致する取り組みへの支援も開始いたしました。
 具体的には、地域の銭湯と連携し、宿泊者向けに割引入浴券を販売する取り組みや、訪日外国人向けにアプリにより地域の観光情報等を多言語で配信する取り組みなど、四つのグループに対して助成を行いました。
 あわせて、東京の旅館をブランドとして世界に発信する取り組みへの支援を実施し、日本人の生活や伝統文化を体験できる場所としての旅館をPRする動画やウエブサイトの制作に対し助成を行いました。
 これらの取り組みにより、東京の旅館の活性化を通じた観光振興を進めてまいります。

3.観光産業を支える人材育成の昨年度の取り組み状況

○菅野委員

 中小の旅館を活性化させていくためには、今ご答弁にもいただいたように、外国人旅行者の受け入れ環境整備や地域との連携による旅行者誘致が必要です。また、最近では、宿泊産業の経営の効率化やサービスの一層の充実の必要性なども指摘されています。
 二〇二〇年に向け、東京の宿泊需要の拡大が期待されているこの機会に、稼働率、集客力の向上などにより、宿泊施設の経営改善につなげる支援の強化を要望しておきます。
 東京の観光産業を将来の有望なビジネス分野へと発展させるためには、観光産業を担う人材の質をより一層高めていくことが何より大切です。
 観光産業は、宿泊や飲食などのサービス業が多くを占めることから、旅行者向けに接客などを行う人材のレベルを引き上げることが重要であります。また、人口減少に伴う国内観光市場の縮小など、観光を取り巻く環境の変化に対応していくためには、事業展開を適切に方向づけることのできる経営層やマネジメント層の育成も、観光産業の成長には欠かせません。
 そこで、都は、昨年度、観光産業を支える人材の育成に向け、どのような取り組みを行ったのか伺いたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長

 都は、平成二十九年度、外国人旅行者に対するサービス提供の充実を図るため、宿泊施設や飲食店、小売店向けに、インバウンド対応の取り組み事例の紹介などを行うセミナーを開催し、九百三十五名が参加いたしました。
 あわせて、アドバイザーの派遣を行い、集客や接遇サービスの方法等のアドバイスを行うなど、百二十九回の支援を実施いたしました。
 また、首都大学東京と連携し、観光産業の経営やマネジメントを担う人材の育成を目的とする講座を開始いたしました。観光をめぐる市場動向や宿泊業の管理会計、またマーケティング手法等の講義のほか、地域の観光資源の商品化戦略を立案するワークショップも行い、二十六名が受講いたしました。
 今後も、こうした取り組みにより、観光産業を支える人材の育成を図ってまいります。

4.終わりに

○菅野委員

 サービスを提供する、そうしたスタッフを初め、経営やマネジメント層の育成など、観光産業を支える人材の育成については、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 これまで、中小企業支援や観光振興の観点から、産業労働局の平成二十九年度の取り組みを伺い、さらなる施策の充実について何点か要望もいたしました。
 都内GDP百二十兆円の達成には、産業労働局が多岐にわたり取り組んでいる施策を総動員して、都内企業の九九%を占め、地域の経済と雇用を支える中小企業が、稼ぐ力を一層高めることが鍵となります。
 そのためには、都の産業振興施策には、本格的な人口減少社会の到来という社会構造の大きな変化を見据えた取り組みが求められます。
 さらに、大局的な観点に加え、現場の生の声にしっかりと耳を傾けて、刻々と変化する経済の荒波の中で奮闘する超零細事業者を的確にサポートしていくことが求められています。
 東京には、中長期的な視点と足元の現場重視の視点の二つをあわせ持ち、都内のみならず、日本経済全体を牽引していくことが期待されています。
 そこで最後に、私からも、この決算審議を踏まえ、産業振興にかける藤田局長の決意をお伺いして、質問を終わります。

○藤田産業労働局長

 二〇二〇大会を目前に控え、インバウンド需要を初め、新たなビジネスチャンスが期待されるなど、東京の経済は、さらなる発展を遂げる絶好の機会を迎えているところでございます。
 まずは、この機を確実に捉えるための施策はもちろんでございますけれども、一方で、お話のように、グローバル化の進展、人口減少社会の到来など、日本経済を取り巻く大きな環境の変化に備える産業振興施策にも、今からしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えてございます。
 こうした認識のもと、平成二十九年度は、事業者が社会の変化を的確に捉えつつ、足元の厳しい経営環境を乗り越えられるよう、その経営力強化につながる支援を実施いたしました。
 具体的には、中長期的な視点から、ICT機器導入等の後押しや、観光産業の成長を支える人材育成に取り組みますとともに、経営基盤が確固たるものとなるよう新たな販路拡大や、観光関連事業者の経営力強化へのサポートを行ってまいりました。
 本年度、こうした施策の強化を図り、取り組みを進めているところでございますけれども、景気回復の実感が東京の隅々にまで行き渡り、将来にわたって東京の産業を着実に発展させるには、さらなる充実が必要であるというふうに考えてございます。
 本日の審議でのご意見も踏まえ、事業者の皆様からの声もしっかりと受けとめながら、現場を持つ産業労働局の強みを最大限に生かしまして、日本各地とも連携して、東京二〇二〇大会に向けた取り組みを加速化させるとともに、その先をしっかりと見据えて、東京の産業振興に局の総力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。

【都議会リポート】
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2018-18.html